『ヒト』を最適化しよう。

昼寝(仮眠)が睡眠に与える影響は?『寝だめ、食後の睡魔、睡眠負債』について

昼寝(仮眠)が睡眠に与える影響は?寝だめはできる?

昼寝(仮眠)の時間次第です。

例えば『1時間級の昼寝をする』と死亡率が高くなるというデータがありますし、夜の本睡眠に影響が出るかもしれません。しかし、20分程度の仮眠であればむしろ一日を効率的に過ごせたり、本睡眠にも何の影響もありません。

 

また『寝だめ』ですが、基本的に人は寝だめはできません。それができたら何もない日に寝だめをして、忙しい日に寝ないで動き回れるのですが、それができないわけですね。ただ、寝だめには、

 

  1. 先取り睡眠
  2. 補充睡眠

 

という種類が二つあって、専門家はそのうち『先取り睡眠』はできないと言っています。これは先ほど例に出したパターンと同じですね。いざという時に動きたいから、今のうちに寝ておくというタイプの睡眠はできないということです。しかし『補充睡眠』は先ほど話した『仮眠』と同じですから、このような補充睡眠は積極的に取り入れた方が健康的に生活できるといえます。

 

仮眠をするときは、

 

  • 先取り仮眠ではなく補充睡眠をする
  • どんなことがあっても朝の太陽光は浴びる
  • 仮眠をする際は20分にする

 

というポイントを押さえるようにしましょう。朝の太陽光を浴びなければ体内時計が狂って不眠症を招くことになるので、『寝だめ』や『二度寝』をする場合でも最低限このポイントは押さえるようにしましょう。

先生

昼寝は気持ちいいよね!しかも本当に取るべきなんだ!
更に詳しく知りたい人は、以下の記事を見るっす!

ハニワくん

昼寝をすると夜眠れなくなる?

昼食後はどうしても睡魔に襲われて、仕事や勉強が手につきません。ただ、昼寝をすると夜の就寝に問題があるという考え方があります。たしかに、あまり寝てはいけないタイミングで寝てしまうと、夜いざというときに眠れなくなるという事実はあります。

 

 

人は睡眠を『寝だめ』できる?

例えば子供がごはん以外のタイミングでお菓子などを食べるとごはんが食べられなくなるので、お母さんが

 

母親

今食べるとごはん食べられなくなるよ!

 

としかりつけるシーンがありますが、あれと似たようなものですね。では、人は睡眠を『寝だめ』できるということでしょうか。ご飯の場合はお腹にお菓子が『溜まる』からご飯が食べられなくなるわけですよね。ということは同じように睡眠も『寝だめ』ができて、その溜めた睡眠のせいで夜眠れなくなる、言い方を変えると『起きていられるようになる』ということなのでしょうか。

 

そうだとしたら、便利だと感じる大人は大勢いますね。どうでもいい時間にしっかりと寝だめしておいて、活動したい時間を増やしたいという人はたくさんいるのではないでしょうか。例えば旅行です。旅行前にたくさん『寝だめ』をしておけば、限られた旅行の時間ではずーっと起きていられますからね。その分思い出もたくさん作ることができます。『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。

『寝だめ』はできない

不眠症の治療をしていると、ときどき『先生、寝だめは有効ですか?』と聞かれます。そのとき、私はその患者さんがどういう意味で『寝だめ』という言葉を使っているのかを確かめるようにしています。といいますのも、だいたい二通りのイメージで『寝だめ』が語られるからです。

 

『先取り睡眠』と『補充睡眠』

この本の著者である専門家は『寝だめ』はできないとしますが、それには、

 

  1. 先取り睡眠
  2. 補充睡眠

 

という種類が二つあって、そのうち『先取り睡眠』はできないと言っています。これは先ほど例に出した旅行のようなパターンと同じですね。いざという時に動きたいから、今のうちに寝ておくというタイプの睡眠はできないということです。しかし、『補充睡眠』という形なら少し違います。普段睡眠不足の人がいて、それを補うために睡眠をとるなら、これは効果があります。睡眠不足になると体は疲れ、自律神経が乱れてきます。そのせいで、

 

  • 頭痛
  • 肩こり
  • めまい

 

などの体調不良が起きるとなれば、この補充睡眠が必要になります。

 

 

睡眠負債とは?

『「いつも眠いー」がなくなる快眠の3法則』にはこうあります。

睡眠不足が続くことのリスク

睡眠不足が続くと『眠気』は私たちの脳にどんどん溜まっていきます。(省略)そして睡眠物質が充満すると、今度は分解が始まります。これが睡眠の始まりです。睡眠物質を消化しきると、また溜まり始めます。これが目覚めた状態です。(中略)睡眠を削るということは、睡眠物質を溜める時間を増やして、消化する時間を減らすということです。すると、脳には消化されなかった睡眠物質が残っていきます。この状態を『睡眠負債』と言います。

 

つまりこういうことです。

 

STEP.1
睡眠不足が続くと脳内に『睡眠物質』が溜まっていく
 
STEP.2
睡眠物質が充満すると今度は分解が始まる
これが睡眠の始まり。
STEP.3
睡眠によって睡眠物質が消化される
 
STEP.4
消化し終わったら目覚める
 
STEP.5
また睡眠物質が溜まったら眠くなる
 

 

これが通常の睡眠の流れなのですが、睡眠不足が続くと、その『睡眠物質』が消化できず、残ってしまいます。これが『睡眠負債』です。

 

STEP.1
睡眠不足が続くと脳内に『睡眠物質』が溜まっていく
 
STEP.2
睡眠をうまく取れない
 
STEP.3
『睡眠負債』が溜まる
睡眠物質がきちんと分解・消化できない。
STEP.4
一日中睡眠不足感を感じる
判断力や集中力も低下する。

 

その頭痛やめまいは、恐らくこの『睡眠負債』が影響していると考えられます。そういう意味でも、『補充睡眠』によってその不足している分の睡眠を補うことは有効だと言えます。つまり、分解しきれていない睡眠物質を消化するわけですね。

 

STEP.1
睡眠負債が溜まる
 
STEP.2
睡眠物質が消化・分解しきれていない。
 
STEP.3
何かしらの体調不良が起きる
判断力・集中力等も低下する。
STEP.4
補充睡眠を行う
 
STEP.5
分解しきれていない睡眠物質を消化する
 
STEP.6
体調が元に戻る
 

 

ということになるわけです。

 

睡眠負債は目を閉じるだけでも減らせる

またこの本では、その睡眠負債を減らすためには『目を閉じるだけでもいい』と言っています。下記の記事にいくつかの仮眠の種類をまとめましたが、ここでも少し見てみましょう。

 

車の運転中に眠くなる!一番効く対策は?ガム?コーヒー?…もっと有効なのがあります!

 

様々な仮眠の種類

ナノ・ナップ 瞬間仮眠。一瞬~数秒
マイクロ・ナップ 1分~数分。
ミニ・ナップ 10分。
パワー・ナップ 20分。
ホリデー・ナップ 90分。

 

つまり、『ナノ・ナップ』のような目を閉じるだけでも十分睡眠負債は減らすことができるというわけですね。逆に言うと、『ホリデー・ナップ』のような、30分以上の仮眠となると夜の睡眠(メジャースリープ)の質が低下するため、やめたほうがいいと言えます。ただ、厳密に言うとこの表は『仮眠』であり、この本が言っているのは『目を閉じる時間』ですから、少し違います。本では、『6~15分ほど目を閉じる』のが一番効果があると言っています。例えば、ホットアイマスクをして15分くらい目を閉じるだけでいいということですね。そこで実際に寝てしまっても、そのくらいの時間であればむしろポジティブな反応しか起きないと言えるでしょう。

 

 

ただ、やはり『寝だめ』というイメージが強いのは『先取り睡眠』の方ですよね。厳密には寝だめはできないと覚えておくのがわかりやすいでしょう。この補充睡眠は寝だめを意識するというよりは、

 

ふぅ、ちょっと寝不足気味だから仮眠するか…

 

という具合に『仮眠』の意識で行う人が多いはずです。寝だめというより仮眠。ですからこれが今回のテーマですね。今少し30分以上の仮眠について話しましたが、仮眠(昼寝)をすると、夜の睡眠にどういう影響があるかということを考えていきましょう。

 

 

先ほどの本にはこうもあります。

ただし、それには条件があります。『補充睡眠』をとりすぎると、『先取り睡眠』と同じことが起きてしまいます。つまり、寝すぎです。寝すぎると夜の睡眠に影響が出てしまいます。

 

やはり昼間の仮眠が度が過ぎると夜の睡眠に影響が出るようです。ではどのように補充睡眠をしたらいいのかというと、そもそも補充睡眠は睡眠不足を認識しているわけです。例えばいつも8時間寝ている人が、何らかの理由で早起きして、5時間しか眠らなかった。そういう場合はどこかで少し仮眠することが有効です。

 

補充睡眠のタイミングの例

例えば私もたくさん経験がありますが、旅行に行く際などはそうですね。旅行としてどこかを観光して食事をし、ホテルに泊まるという一連の流れを考えると、やはり電車等の乗り物に乗る時間は早めになります。その早めの乗り物に乗るためには、いつもより早く起きなければなりません。そこで私はいつもは使わない目覚まし時計を使って無理やり起きて、睡眠不足に多少納得がいかない状態で乗り物に乗ります。

 

それが新幹線でも飛行機でも、そこでぐっすりと眠りますね。実際には環境的に快眠できなかったとしても、とにかく睡眠不足なものですから、そこで『補充睡眠』をします。やはりそういうところで少しでも寝るときちんと『補充』できます。まるで携帯電話を充電するようなイメージで、たとえ満タンにならなかったとしても、『60%→80%』とか、そのぐらいの睡眠貯金が補充されますね。

 

 

わかりやすいのは富士登山に行った時の話です。その時はたしかまだ30歳になる前だったこともありますが、登山に行く前日は、友人とほぼ徹夜でゲームをしていました。眠れなかったので起きてしまい、ゲームをすることのしたのです。朝の7時くらいに出かけなければいけないのに、3,4時くらいまでゲームをしていたでしょうか。友人の一人は、

 

もうやめようぜ登山…。

 

と弱音を吐いたほど、これから富士登山に行くなんて考えられない状態でした。しかし若さもあるでしょうが言い出しっぺの私は元気そのものですから、それを無視して計画通り初めての富士登山を決行することにしました。

 

しかしやはり眠かったですね。ただ、運転手がゲームに参加していなかったこともあり、移動の車中で皆少しでも多くの補充睡眠をしました。そして山の麓についてからも少し時間があったので、そこで30分~1時間くらい寝ました。そして、通常ならかなり睡眠が足りていない状況ですが、そのまま気合いで富士登山を成功させました。あれも、その途中の補充睡眠が効いていた気がします。トータルで2時間ほど補充できたと思いますが、あれがあるのとないのとでは全く元気が違いましたね。

 

クレイジージャーニーの補充睡眠

あれから数年経ち、TBS『クレイジージャーニー』で今回のテーマに関係する幾人かのクレイジーなジャーニー(旅人)を見ました。一人は私も本を持っていますが、

 

 

白石康次郎というヨット乗りの海洋冒険家です。そしてもう一人は世界で最も過酷なトライアスロンと言われる『アドベンチャーレース』に参加し続ける日本人、田中正人さんのグループですね。

 

 

アドベンチャーレースは、スタートからゴールまで、夜間行動もある3日以上の超長距離レースであり、その移動距離は600㎞を超えます。しかし文字通り『レース』ですから、途中の睡眠時間も自分たちで考えて用意しなければなりません。

 

この2人(グループ)の共通点は、その時の富士登山の私たちと同じように、『睡眠時間が短い』ということもさることながら、『補充睡眠をうまく利用している』ということです。ヨットでの睡眠も、レース中の睡眠も、たっぷり8時間の睡眠を確保することはできません。そんなことをしている間にヨットが波に揺られて転覆し、レースであればほかのチームが次々にゴールしてしまいますからね。

 

勝負師と冒険家―常識にとらわれない「問題解決」のヒント 』にはこうあります。

白石 だいたいバテますね(笑)。僕のレースって世界一長いから。ただ、世界一周ノンストップの場合は、長いスパンでものを考えないとなかなか勝てない。

 

白石さんのヨットレースも、アドベンチャーレースに劣らない世界一過酷なレースに等しいものがあるでしょう。彼らはそんな過酷なレースの真っ最中に、例えばフルマラソンよりももっと長い距離を移動した日の睡眠が『3時間』とかその程度ですからね。これでは完全に心身の疲れは取れません。ですから、3日目となると幻覚が出るのは当たり前で、田中さんの場合はメンバーに、

 

田中さん

幻覚は楽しんだ方がいいよ。

 

と助言していました。『幻覚が出る=もうやばい状況』という常識的なネガティブ発想をしているようではアドベンチャーレースはできません。彼らの間では、世で非常識と言われる考え方が、常識なのです。もちろん『期間限定』ですからね。それを一生続けるわけではないので通用するということもあるでしょう。

 

勝負師と冒険家―常識にとらわれない「問題解決」のヒント 』にはこうあります。

羽生 風がまったく吹かないときって、どうしてるんですか?昼寝するとか。

白石 そういうときは、押しなべて待ちます。何もしてないんじゃなくて、待っているんです。荒れてるときにはできないので。凪のときってけっこう忙しいんですよ。セールも一番大きなものを揚げています。もし突風が吹いたら一気に船が倒されるので、非常に神経を使っています。あとは、体力をつけるチャンスだから、とにかくいっぱい食べて次に備えるね。

羽生 凪のときぐらいのんびりしているのかと思ったら、大間違いなんですね(笑)。

 

レース中はたとえ風のない凪のときでも、いくらでも寝ていいと言われている睡眠の時間でも、甘えた考え方は一切できないということですね。

 

  1. 富士登山と私
  2. アドベンチャーレースの選手
  3. 海洋冒険家

 

これらの事例を見て、『補充睡眠』がどれだけ有効かということが見えてきましたね。私の例などはこの2例と比較にはなりませんが、身近な例として参考にはなるでしょう。一応の共通点はどれも『過酷な冒険をする』ということです。普通はそういうときには『たっぷりとした睡眠』を確保し、エネルギーを満タンにするはずですが、今回挙げた例を見て見ると、すべて睡眠不足を補う『補充睡眠』で乗り切っていますね。

 

こういうケースの場合、『昼間の仮眠が度が過ぎると夜の睡眠に影響が出る』ということにはならないでしょう。何しろやっているのはあくまでも『補充睡眠』であり、元々睡眠が足りていなかった。その分を補充しただけですから、夜の本睡眠には影響がないのです。というか、疲れ切ってますからね。ぐっすりと眠れます。

 

 

先取り睡眠は夜の睡眠に影響が出る

では、夜の本睡眠に影響が出る仮眠とは、どのようなものでしょうか。それはやはり『先取り睡眠』ですね。つまり、

 

『睡眠不足でもないのに、冒険をするわけでもないのに、本睡眠でたっぷり眠れるはずなのに、昼間に多くの仮眠を取ってしまう』

 

この先取り睡眠が、夜の本睡眠に悪影響を与える仮眠だと言えるでしょう。これは別に『昼間』じゃなくてもそうですね。例えば0時に寝たい人が、21時くらいにちょっと眠くなってウトウト仮眠してしまって、用事に途中で気づいて23時くらいに起きるとします。それであたふたとしている間にあっという間に0時になり、『あたふたしている』こともあっておそらく0時を過ぎても寝られないでしょう。特に冒険やハードな運動をして疲れているわけでもない場合、眠気は全く覚めてしまって、夜遅くまでテレビを観たり、本を読むことを強いられるかもしれません。

 

ではここで睡眠時の人の脳波の動きを見てみましょう。

 

STEP.1
目をつぶる
 
STEP.2
脳波は起きているときに出ているβ(ベータ)派からα(アルファ)派に変わる
STEP.3
さらにウトウトするとΘ(シータ)派が出る
 
STEP.4
意識が遠のいてδ(デルタ)派という脳波が出てくる
これが熟睡している状態。ここまでに約90分(1時間半)かかる。

 

人が熟眠感を得るためには脳波をこの『δ派』にする必要があります。この状態になると自律神経は副交感神経が優位になっていて、体温は低下しています。これが『ノンレム睡眠』といわれる深い睡眠です。

 

レム睡眠
脳は起きて身体が眠っている。浅い睡眠。Rapid Eye Movement。急速な眼球運動を伴う眠り。瞼の中で目がぎょろぎょろと動いていることから、REM睡眠と名付けられた。
ノンレム睡眠
脳も体も眠っている。深い睡眠。

  • 交感神経が優位=緊張、不安
  • 副交感神経が優位=リラックス

 

ですから、自律神経は副交感神経が優位になっていなければ寝られません。そのようなハプニングが起き、やることもできずに『あたふたしている』場合は、おそらく交感神経が優位になってしまっていて、リラックスできていません。そういう事情も上乗せされるということですね。

 

ただ、こうした『先取り睡眠』でも、冒険やハードな運動や仕事をして疲れていた場合、特に本睡眠に影響なく眠れることはあります。要は、どれだけ疲れているか等が睡眠にかかわってくるということですね。疲れているなら、『先取り睡眠が補充睡眠になることがある』ということです。単なる補充睡眠なら本睡眠に影響はありませんからね。

 

朝の光を浴びずに昼過ぎまで寝るのはNG

ただ、『昼間に昼寝をする』ということにはいろいろとほかに考えることがあります。例えば、『朝の光を浴びずに昼過ぎまで寝ている』という状況が、休日なんかにあったりしますよね。また、仕事をしている平日でも『1時間級の昼寝をする』というパターンもあります。実は、このようなパターンの昼寝の場合、あまりよくありません。

 

『肥満外来の女医が教える熟睡して痩せる「3・3・7」睡眠ダイエット』にはこうあります。

『寝だめ』『二度寝』OK

(省略)『寝だめ』や『二度寝』をしたことで、体と心が軽くなるならそれはプラスと判断します。ただ、『3・3・7睡眠法』では、『寝だめ』と『二度寝』をする際、次のことを守ってもらうようにしています。

  1. 朝は一度とりあえず起きて、光を浴びる
  2. 昼前には起きる

朝の光を浴びるのは気合を入れるための儀式ではなく、医学的にもプラスの根拠があることです。仮に朝の光を浴びずに暗い部屋のままで眠り続けた場合、脳が朝が来たことを感知できず、活動のスタートが後ろにずれていってしまいます。するとせっかく『寝だめ』や『二度寝』をしても、その日の夜に眠れず、翌日はまた寝不足の状態に逆戻りしてしまうということが起きてきます。

 

人は、朝の光を浴びて一日のリズムを取り戻すのです。したがって、それを怠ってしまうと『概日リズム』が狂ってしまい、起床や睡眠時間に影響が出てしまうのです。

 

概日リズム(サーカディアンリズム)
約24時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。人間の場合、『24時間と数分』のリズムが内在していて、実際のリズムと数分ずれている。

 

この多少ずれてしまっている概日リズムは、朝の太陽光を浴びることでリセットされます。そして『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。

太陽光が睡眠の質を決める

(省略)日中に太陽光をたくさん浴びる方が夜によく眠れると言われても、ピンとこないかもしれない。しかし、科学がそれを証明している。私たちの体には、24時間周期の体内時計がある。これは決して空想上のものではない。携帯電話や腕時計と大差のない、本物の24時間周期の時計だ。私たちの体は決まった時間に決まったホルモンが分泌されるようにできている。この体内時計システムが、消化、免疫系、血圧、脂肪の利用率、食欲、気力などの調節を設けているのだ。24時間周期の体内時計は、脳の視床下部にある『視交叉上核(しこうさじょうかく)』と呼ばれる 神経細胞の小さな集まりで管理されている。視床下部は、体内のホルモン分泌系の要として知られる。この領域が体内のマスターロックとして機能し、空腹、のどの渇き、疲労、体温、睡眠サイクルを調節するのだ。つまり、睡眠をどうにかしたいなら、頭に意識を向ける必要があるということだ。

 

つまりこういうことです。

 

STEP.1
朝の光を浴びる
 
STEP.2
光は視床下部や光に反応する臓器や腺に『起きろ』と警告を送る役割を果たす
光(特に太陽光)には日中に分泌されるべきホルモンや、体内時計を調節する神経伝達物質の生成を促す力がある。
STEP.3
太陽光が引き金となり、身体が動き出す
 

 

まずは、日中に太陽光をたくさん浴びることが求められます。そうすることで身体が日中に活動的に動けるようになります。そして、熟睡に欠かせない『セロトニン』という神経伝達物質が光を浴びることによって分泌されます。

 

するとそのセロトニンはそのうち『メラトニン』という快眠物質へと変化します。このメラトニンは、光を浴びてからおよそ15時間後に分泌されます。メラトニン自体は、太陽光や電子機器等の『光』に含まれるブルーライトを浴びた直後は、分泌が抑制されます。セロトニンがメラトニンに変化するわけですから、太陽光を浴びてセロトニンが出るなら、=メラトニンが抑制されているわけですよね。ですから、朝7時に太陽光を浴びた場合は、その直後にセロトニンが出て、そして22時にはそれがメラトニンになり、眠気が出てくるわけです。

 

STEP.1
セロトニンが体内で合成される
 
STEP.2
日光の光を浴びる
ブルーライトを浴びる。
STEP.3
直後はメラトニンの分泌が抑制し、覚醒する
 
STEP.4
約15時間後、セロトニンがメラトニンを作る
 
STEP.5
メラトニンのおかげで快眠できる
 

 

ですからそう考えると、太陽光を浴びずに昼過ぎまで昼寝をするということは、本睡眠にも次の日の起床にも影響を及ぼしてしまいます。概日リズムが狂うからですね。セロトニン、メラトニンといった物質のコントロールもできなくなります。

 

1時間級の昼寝をすると死亡率が上がる?

また、『1時間級の昼寝をする』というパターンの仮眠も問題があります。『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』にはこうあります。

長すぎる仮眠はかえって寿命を縮める!

南ヨーロッパや南米に行くと、お昼過ぎにレストランやショップが閉まってしまうことがあります。『シエスタ』と言って、みんな昼寝をしてしまうからです。(中略)ただ、シエスタが健康に悪影響を及ぼすこともあります。シエスタが長すぎると、心筋梗塞が起こりやすくなるのです。心筋梗塞の患者さんと健康な人を調べたところ、シエスタが20分以下の人は心筋梗塞になる危険率が23%低下しますが、45分の人で1.3倍、1時間半の人で1.7倍とリスクが上がることがわかっています。また、シエスタの時間と死亡率にも深い関係があります。イスラエルからの報告によると、女性ではシエスタの習慣がない人に比べて、1時間以下のシエスタをしている人は心筋梗塞におる死亡率が4.7倍、1~2時間の人は5.6倍もありました。男性では、シエスタを1時間以下しかとらない人は全くしない人と同じ程度の死亡率でしたが、1~2時間の人で2.6倍、2時間以上になると13.6倍も死亡率が高くなっていました。

 

仮眠というのは『20分』が最適な時間だと言われているのです。ですから仮眠をするときは、

 

  • 先取り仮眠ではなく補充睡眠をする
  • どんなことがあっても朝の太陽光は浴びる
  • 仮眠をする際は20分にする

 

というポイントを押さえるようにしましょう。

 

先生

寝だめや食べだめができたら更に人生が豊かになるんだけどね!雨の日に溜めて、晴れの日に行動できるからね!
たしかに!

ハニワくん

 まとめ✔
  1. 人は『寝だめ』はできないが、正確に言うと『先取り睡眠』はできず、『補充睡眠』はできる。
  2. 『睡眠負債』とは睡眠不足が続いて『睡眠物質』が消化できず、一日中睡眠不足感を感じること。
  3. 睡眠負債は目を閉じるだけでも減らせる。
  4. 疲れているなら、『先取り睡眠が補充睡眠になることがある』。
  5. 朝の光を浴びずに昼過ぎまで寝るのはNG。
  6. 仮眠は『20分』が最適な時間だと言われていて、1時間級の昼寝をすると死亡率が上がるデータもある。

 

昼食後に睡魔に襲われる理由とは

しかしどうして昼食後には睡魔に襲われるのでしょうか。実は、よく言われている『昼食のせい』という理由は、確実な情報ではありません。

 

昼食のせいで眠くなるわけではない

『脳も体も冴えわたる1分仮眠法』にはこうあります。

昼食後に眠くなる本当の理由

『食後に眠くなるのは、食べたものを消化吸収するために胃や腸に血液が集まり、その分、脳への血流が減るから。脳に十分な血液がいかず、その分、脳の働きが弱くなり眠くなる』

このような説もありますが、これは一部はあっていますが、一部は違います。たしかに胃や腸などの消化器官の血流量は、通常の1.5~2倍程度に増えます。ただし、脳の血流量にはそれほど変化が見られません。

 

脳の血流自体は通常通りなのです。しかし、そのあとに、消化吸収を促進するために胃や腸に血液を集める必要があり、その時に脳の働きが低下します。

 

STEP.1
食事をする
STEP.2
消化吸収を促進するために胃や腸に血液を集める必要がある
このとき脳の血流量は通常通り。
STEP.3
しかし消化器官に血液を回すために、脳の働きが低下する
このとき脳の血流量は通常通り。
STEP.4
そのおかげで血流が筋肉ではなく消化器官に回り、効率よく消化吸収できる
この時の脳の『休憩』が眠気につながっていると考えられている。

 

まずはこのように、『昼食によって』という考え方が一つあります。しかし、ではなぜ『昼食だけ』眠くなるのでしょうか。その他の食後でそこまで眠くなるということもありません。『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』にはこうあります。

昼食を摂らなくても昼間は眠くなる

(省略)また、昼ご飯を食べなくても、あるいは1日に数回に分けて食事をしても、午後2時から4時頃には眠気に襲われます。私たちの眠気を決めているのは『睡眠物質』と『体内時計』です。特に昼間の眠気は、体内時計が主な原因になっています。人の体にあるほとんどすべての細胞には、体内時計が組み込まれています。この体内時計のリズムによって、眠気だけでなく体温や血圧、脈拍、ホルモンの分泌、免疫などがコントロールされています。

 

実は、昼間に眠くなるのはこの『体内時計』が関係しているからです。そして、この体内時計による眠気のピークは、

 

  • 1位:深夜午前2時~4時
  • 2位:午後2時~4時

 

の順番で訪れます。深夜の眠気には劣りますが、その半分くらいの眠気が昼間に襲ってきて、眠くなるのです。それにはサーカセメディアンリズムと呼ばれる体内時計が関係していたんですね。ですから本当はこの時間に『20分ほどの仮眠』をとることで一日を快活に過ごせます。勘のいい企業はそれに気づいていて、マッサージチェアーでアイマスクをしながら仮眠をする、という行為を推奨したりしています。このあたりのことについては、下記の記事に詳しく書きました。

 

昼夜逆転・時差ボケ(概日リズム睡眠障害)の原因は体内時計?

 

 

『午後昼過ぎ』に昼寝をするメリットはかなり大きい

ですから、『午後昼過ぎ』というのは勉強のゴールデンタイムとは言えません。その時間は眠気が襲ってきて、勉強がはかどらないからです。仕事も同じですね。ですからそういう企業のように、その時間は積極的に仮眠を取ることが大切です。私も大体そのあたりの時間に、気づけば仮眠をしています。

 

学力と睡眠時間に関係はある?一夜漬けはあまりにも古すぎる勉強法!

 

私の場合、家での仕事ですからね。自由です。しかしその自由をいいことにさぼるだけさぼったら破綻しますから、もちろんサラリーマンが職場にいるのとなるべく同じように気を引き締めてやります。ですから最初のころは、ベッドが近くにあるからといって寝ることはありませんでした。しかし、運動はかなりハード気味にしていて、そういうこともあって私のカラダは人一倍『休養』を求めていました。

 

私は20代後半やそこらということもあって、それまで『仮眠を取る』という考え方がなかったので、自分の体調不良は、あくまでもストイックに体を酷使しているからであり、それをやめれば別に元に戻ると考えていました。しかし、例えばアスリートなどは自分よりももっと酷使している中で、自分の筋肉の成長率なども悪く、一体自分のどこに原因があるのかを考えるようになりました。

 

ある時、いつも通りハードな運動のあと、シャワーを浴びてパソコンで仕事をしていると、目に激痛が走りました。単なる眼精疲労なのですが、どう考えてもそのまま続行するのは不可能。少し目を休めるしかありませんでした。そうしているうちに、知らぬ間に仮眠を取るようになっていました。それには先ほど紹介した『ホットアイマスク』の存在も大きいですね。これが本当に気持ちよく、眼精疲労を緩和している間に、いつの間にか少し仮眠しているのです。そして、徐々に仮眠の実力を知るようになりました。

 

ん…?なんか調子がよくなってきたぞ

 

という具合に、仮眠による恩恵をまざまざと思い知っていったのです。例えば私は持病で『口唇ヘルペス』を持っているのですが、これは疲労などで免疫力が下がっているときに必ず発症します。潜んでいるウイルスが口元に降りてきて、皮膚を食い破って増殖しようとするんですね。

 

 

しかし、この口唇ヘルペスが発症することが激減しました。これは自分の中でもとても大きなことでした。これは一度発症したら一生ものだと言われている病気です。明石家さんまさんなども患っているのですが、『熱が出たときに咲く花』ということで、通称『熱の花』ともいわれる口唇ヘルペスは、『頑張っている証拠』とも言われていて、ストイックに頑張り続けるなら、この発症を免れることはできないと思っていたのです。

 

私は仕事もして、ハードな運動も毎日していますからね。だからこの病気を免れることはできないと思っていましたから、『バルトレックス』という飲み薬とは一生付き合うものだと覚悟していました。しかし、今ではもうこの飲み薬は飲んでいません。もう10年は飲んでいませんね。それまでは、一年に10~20個以上は飲んでいたのに、もう飲まなくなったのです。少し痒くなったと思ったら『アクチビア』を塗れば、悪化する前に抑えられるのです。

 

 

たしかに、人一倍酷使しているのに、人一倍休養を取らないのも、つじつまが合わないか…

 

と考えるようになりました。そして私は気づけば14~16時の間に仮眠を取るようになったのです。そのおかげで口唇ヘルペスが出なくなり、目の激痛もなくなり、午後の仕事も快活にできるようになりました。ですから、私のように家で仕事をしていて、『いつでも休めるからといって休まない』と、ある種ストイックに自分に厳しくしている人も、午後の仮眠は取ることを推奨します。運動をしていなくても、その仮眠によって午後の生活も快活に過ごせるでしょう。

 

勉強、仕事、家事、交友にゲームに映画鑑賞でもいいですが、午後にもまだまだ大切な時間がたくさん続きますからね。そのすべてを効率よく、調子よく生活するためにも、人は睡眠を欠かすことはできないのです。おやつを食べる感覚で自分にご褒美をあげるイメージで、ぜひ仮眠を取っていきましょう。

 

先生

20分って本当にあっという間に経ってしまうから、ぜひ仮眠の習慣を取り入れたいね!
たしかに!

ハニワくん

 まとめ✔ 
  1. 昼間に眠くなるのは『体内時計』が関係している。
  2. 本当はこの体内時計による眠気のピークを迎える時間に『20分ほどの仮眠』をとることで一日を快活に過ごせる。
  3. 仮眠は免疫力を引き上げ、人を悪いウイルスから守る。