『トリプトファン、セロトニン、メラトニン』って睡眠に何の関係があるの?
それらの栄養素や物質がなければ人は快眠できません。
『夜に快眠するためにメラトニンを出す必要がある。そのため、朝に太陽光を浴びてセロトニンを出す必要がある。そしてその際に必要な栄養素としてL-トリプトファンを蓄えておく必要がある。』ということですね。
先生
ハニワくん
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睡眠には欠かせない物質がある
睡眠は、
- L-トリプトファン
- セロトニン
- メラトニン
これらの物質をなくしては語れません。
『ササッとわかる「SAD 社会不安障害」 あがり症の治し方 (図解 大安心シリーズ)』にはこうあります。
3つの栄養素をバランスよく摂ることが大切
セロトニン生成に必要なL-トリプトファンは体内で合成されないため、食事によって摂取する必要がある。このトリプトファンがビタミンB6と結びつき、セロトニンが合成される。ブドウ糖はトリプトファンを脳まで効率よく運び、セロトニン生成を支える。
セロトニン生成に必要なL-トリプトファンは体内で合成されないため、食事によって摂取する必要があります。つまり、L-トリプトファンを摂取することが求められるわけです。
『セロトニン、メラトニン』とは何か
では『セロトニン、メラトニン』というのは何なのでしょうか。『「いつも眠いー」がなくなる快眠の3法則』にはこうあります。
あなたを眠くさせるのはメラトニン
(省略)メラトニンは、増えると眠くなり、減るとキリっと目覚める仕組みになっています。このメラトニンは、光によって分泌量が変わるという特徴があります。真っ暗になるほどメラトニンが増えて眠くなり、明るくなるほど減って目が覚めるということです。つまり、起床時にカーテンを開けないとしっかりと目覚めることが難しくなってしまうのです。
メラトニンは『セロトニン』という物質が変化して作られるホルモンであり、そのセロトニンは、朝の光を浴びることで分泌されます。つまりこういうことです。
まずは、日中に太陽光をたくさん浴びることが求められます。そうすることで身体が日中に活動的に動けるようになります。そして、熟睡に欠かせない『セロトニン』という神経伝達物質が光を浴びることによって分泌されます。 もう一度これらのホルモンを軸にして見てみましょう。
こういうホルモンの変化によって、人は夜に快眠できるようになるのです。ここで一度、各神経伝達物質の詳細をまとめてみましょう。
各神経伝達物質
セロトニン | 活動を助ける |
---|---|
メラトニン | 睡眠を促す |
そしてこの二つの『トニン』は正反対のリズムで分泌されていて、どちらかが増えると、どちらかが減るようになっています。したがって、朝の光を浴びるとセロトニンが増えて体が起き、活動的になることができますが、メラトニンが多くなるとセロトニンが減るわけですから、眠くなるわけですね。つまりまとめると、
『夜に快眠するためにメラトニンを出す必要がある。そのため、朝に太陽光を浴びてセロトニンを出す必要がある。そしてその際に必要な栄養素としてL-トリプトファンを蓄えておく必要がある。』
ということになるわけですね。
L-トリプトファンとは何か
また、
- L-トリプトファン
- ビタミンB6
- ブドウ糖
の3つがバランスよく揃っていることも求められます。ですから、どのような食事をするかによっても睡眠の質は変わってくるということです。またここにはありませんが厳密に言うと、
- ナイアシン
- マグネシウム
等の栄養もトリプトファンからセロトニンやメラトニンを合成するのに必要になります。そしてそれによってできたセロトニンは、日中に日光の光を浴びることによって『メラトニン』というホルモンを合成します。そのメラトニンのおかげで良質な睡眠が得られるわけです。このメラトニンは、光を浴びてからおよそ15時間後に分泌されます。メラトニン自体は、太陽光や電子機器等の『光』に含まれるブルーライトを浴びた直後は、分泌が抑制されます。ですから、朝7時に太陽光を浴びた場合は、22時にメラトニンが分泌され、眠気が出てくるわけです。
つまり、夜に電子機器から発せられているブルーライトを浴びてしまうと、快眠物質であるメラトニンの分泌が抑制されてしまい、そこから更に15時間待たなければいけない、というイメージになるわけです。ブルーライトは、
- 太陽光
- LED
- 蛍光灯
- テレビ
- スマートフォン
- パソコン
等に含まれています。つまり、電子機器を夜遅くまでいじっていると、知らぬ間にこのブルーライトを浴びてしまい、良質な睡眠の妨げになってしまうのです。
太陽光ほど強いブルーライトは出ていないせいか、電子機器やLEDに含まれるブルーライトを浴びても15時間も待つ必要はないといいます。また、人間はこのメラトニンがなければ絶対に眠れないというわけでもないので、そういうことも関係しているでしょうが、スマホ等の電子機器に触れるのは『寝る2時間前まで』だと推奨されています。
- セロトニン生成に必要なL-トリプトファンは体内で合成されないため、食事によって摂取する必要がある。
- メラトニンは『セロトニン』という物質が変化して作られるホルモン。
- そのセロトニンは、朝の光を浴びることで分泌される。
- この二つの『トニン』は正反対のリズムで分泌されていて、どちらかが増えると、どちらかが減る。
- メラトニンは、太陽光や電子機器等の『光』に含まれるブルーライトを浴びた直後は、分泌が抑制され、代わりにセロトニンが出る。
- スマホ等の電子機器に触れるのは『寝る2時間前まで』。
- 夜に快眠するためにメラトニンを出す必要がある。そのため、朝に太陽光を浴びてセロトニンを出す必要がある。そしてその際に必要な栄養素としてL-トリプトファンを蓄えておく必要がある。
睡眠には欠かせない物質がある
カギを握る食事
『「脳ストレス」に強くなる!セロトニン睡眠法』にはこうあります。
食事でセロトニンの原料補給
(省略)トリプトファンは、ほとんどのたんぱく質食品に含まれていますが、特に多く含まれるのは、豆腐、納豆、大豆製品のほか、レバー、チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、マグロの赤身、バナナ、お米などです。また、トリプトファンがセロトニンを合成する際には、ビタミンB6が不可欠となります。食事と際は一緒に摂ることが大切です。ビタミンB6を多く含む食品は、ニンニク、ショウガ、豚肉やレバー、青魚などです。(中略)さらに脳のエネルギーとなるブドウ糖も一緒にとることが大事です。これは米、芋などの穀類のほかに果物などに含まれます。一般的に健康にいいとされるバランスのとれた食事をしていれば、おのずとトリプトファンを摂取することができます。
これについての詳細は下記の記事にまとめましたので、併せてご確認ください。
睡眠に効く食物や栄養素は『乳製品・魚類・大豆製品・ナッツ類・発酵食品』だ!
どれもそこまで特別な食物ではありませんので、『バランスよく色々な物を食べる』ことを意識している人であれば問題ありません。問題なのは『偏食』の人ですね。たまに、『カップラーメンとコーラしか口にしない』とか、そういう偏った食生活を送っている人がいますが、そのような偏食の人はもちろん十分なトリプトファンを補えませんし、それどころかそれ以外の様々な病気、生活習慣病等のリスクも激増させてしまいますので、直ちに治すべきですね。
カップラーメンとコーラというのは、むしろ真逆です。『ごく稀』にしか口にするものではありません。ダイエットソーダに関しても同じことが言えます。『科学でわかった正しい健康法』にはこうあります。
ダイエットソーダを飲んでいると糖尿病に罹患するリスクが67%高くなるという報告もあれば、鬱病に罹患するリスクが30%高くなるという報告もある。僕自身の個人的な研究によれば、デート中に店でダイエットコーラを注文すると笑われる確率が5000%高くなる。『人工甘味料は体重増加、体脂肪増加の原因になりうるのです。それに血糖値を調節する能力を弱めます』と、パデュー大学のスーザン・スイッチャーズ博士は語る。(中略)僕がどうしても知りたいのは、次の疑問の答えだ。ふつうのコーラとダイエットコーラのどちらを選ばなければならないとしたら、どちらを選べばいいのだろう?『それは、質問自体が間違っているわね』と、スイッチャー図博士は応じる。『どんな日であろうと、いかなるソーダも飲むべきではありません。』
そしてここに出てきた、
- 糖尿病
- うつ病
- 肥満
というキーワードは、すべて睡眠やセロトニンといった今回の問題と無関係ではありません。そのうち、糖尿病と肥満については下記の記事に詳しく書きましたので、併せてご確認ください。
睡眠不足で『糖尿病・高血圧・動脈硬化』になるリスクが上がる?
夜型、睡眠不足の人は太りやすい?肥満と睡眠は関係ある?[ダイエットと睡眠]
うつ病・あがり症とセロトニンの関係
うつ病ですが、先ほどの参考書は『ササッとわかる「SAD 社会不安障害」 あがり症の治し方 (図解 大安心シリーズ)』というタイトルでした。つまり『あがり症』ですね。あがり症もうつ病も、同じく『セロトニン不足』が大きな原因の一つだと言われています。本にはこうあります。
睡眠不足は『緊張状態』を作り出しやすい
SADの人は激しい動悸や赤面・震えといった体の反応を感じると、それを意識して、さらに緊張感が増すという悪循環の中にいます。こういった体の緊張状態は、睡眠不足によって引き起こされやすくなります。セロトニン量が低下しているSADの人は、交感神経が緊張しやすいため、夜間の睡眠の質も低下しがちです。質のよい睡眠がとれないと、副腎皮質ホルモンやアドレナリン、ノルアドレナリンといった脳内物質が放出されますが、このホルモンは危険を感じて逃げるときや戦うときに分泌されるホルモンと一緒です。つまり睡眠不足になると、戦ったり逃げたりする時にドキドキしたり震えたりさせるホルモンが多量に分泌されることになるわけで、そうなると身体がおのずと緊張状態に入ってしまうのです。
SADというのはあがり症のことです。つまり、トリプトファンが足りず、十分なセロトニンが作れず、メラトニンの合成がままならない人は、自律神経が乱れ、睡眠不足に悩まされるし、またあがり症、うつ病といった精神不安定の状態を作りやすくなるのです。
『「脳ストレス」に強くなる!セロトニン睡眠法』にはこうあります。
ところで、北欧のノルウェーやスウェーデン、フィンランドやスコットランドなどの北部では、地球の緯度の関係で冬季には日照時間がかなり短くなっています。そのため、季節性感情障害という、冬季だけ起こる精神障害を起こすことがあります。食欲低下、不眠、鬱傾向などの症状が出ます。一般的には、これらの症状をまとめて『冬季うつ病』といっているわけです。(中略)冬季うつ病は、日照時間が短いことで、セロトニンとメラトニンの分泌量に問題が生じるわけですが、実は北欧の人たちは日照時間が短くなる季節、食べ物の好みが変わるといいます。
寝室の『灯り』や『色』を最適化し、良質な睡眠を得よう!(インテリア、カーテン、アイマスク)
太陽光がセロトニンの分泌を促すということは先ほど話しましたが、さらに詳しいことは上の記事に書きましたので、併せてご確認ください。とにかく北欧のある地域では、冬季に太陽光を浴びれないために、セロトニン不足に陥りやすくなります。そのせいで、うつ病等の精神疾患が発症しやすくなるというのです。しかし彼らは意識してか無意識か、
- パスタや麺類
- 穀類
- パン
- ジャガイモ
- ピザ
等の炭水化物(糖質)を好んで食べるようになる傾向があるというのです。つまり、トリプトファンを摂取するわけです。専門家によると、これらの行動は無意識にでも、体が自然にトリプトファンを求めるのではないかということです。
無意識に求める栄養素
たしかにそういう行動はあるでしょう。私は極端なダイエットをしていた時期があります。その時のダイエットは、
- 鶏のささ身
- 卵の白身
- プロテイン
- アミノ酸ドリンク
- スープ類
等をベースにし、後の炭水化物等を含めた脂質等は極限まで摂取を控えるというものです。そして毎日のように激しいトレーニングをします。
- 筋トレ
- ボクシング(ミット打ち、シャドーボクシング)
- ロードワーク(ダッシュ、ランニング)
その頃はまだ、『部位ごとに筋トレをする』という理論を知りませんでしたから、毎日のように同じメニューを繰り返していたのです。つまり、人体の構造を無視して、かなり体を酷使してしまっていました。筋トレと休養についての詳細は、下記の記事に詳細を書きましたので、併せてご確認ください。
トレーニングと睡眠の関係とは?疲労回復と筋力増強に絶対欠かせない睡眠
その時、私はたまに無性に『高脂肪、高カロリーなもの』を食べたくなり、よくドカ食いしていました。例えば、
- カレーライス
- 麻婆豆腐
- マクドナルド
- ロールケーキ
- ポテトチップス
これらをいっぺんに買い、ドカ食いするのです。糖分と塩分を両方大量に摂取するのです。その後『ホンマでっか!TV』で、脳科学者の澤口さんが『塩分には精神安定の効果がある』というのを聞いて、私のこのような行動につじつまが合ったのを覚えています。
糖分にもトリプトファンを含めた疲労回復効果があるし、塩分にも精神安定効果があったのです。私は無意識に、あまりにも疲弊した体を癒すために、自己防衛としてそのようなドカ食いに走ったと考えられるのです。ですから、北欧の人が『冬季うつ病』の抑止のために、無意識にでもそういう行動に走ったというのは、よくわかりますね。
睡眠には欠かせない物質がある
トリプトファンは体内で作り出すことができる?
ただ、この『体内では合成されないから食事から摂るしかない』という説について、新しい見解があります。『あなたの身体は9割が細菌』にはこうあります。
ただし、食べた細菌が腸内で工房を開いてセロトニンを増産してくれる、というほど単純な構図ではない。生きた細菌を体内に入れるとそれが合図となって、まずは別の物質であるトリプトファンの血中濃度が上がる。トリプトファンはセロトニンに直接変換されるので、幸福感を得るのに欠かせない物質だ。うつ病患者ではトリプトファンのの血中濃度が低いことが多く、トリプトファンを含むたんぱく質をあまり食べない国では自殺率が高いという。トリプトファン含有食品の摂取をやめると一時的に重症のうつ病になる。トリプトファン不足はセロトニン不足を意味し、セロトニン不足は幸福感不足を意味する。ここで注目すべきは、細菌を加えるとトリプトファンが増加するのは細菌がトリプトファンを産生しているからではないということだ。細菌は、トリプトファンを破壊していた免疫系の過剰反応を抑えるのだ。
実はこのトリプトファンは、『体内では合成されないから食事から摂るしかない』と言われていました。しかし、『トリプトファン』を直接摂るのではなく、『トリプトファンを破壊していた免疫系の過剰反応を抑える細菌』を摂ることにより、トリプトファンの血中濃度が上がるというのです。
ということで、腸内フローラを整えるような食事や栄養も、結果的にトリプトファンの血中濃度を上げることにつながるので、摂るべき食事や栄養は、さらに多岐にわたることになります。
腸内フローラが睡眠不足を解消する?セロトニンを作って快眠しよう!
青汁の食物繊維と抗酸化物質はニキビに効く!腸内細菌が秘める力はすごい
例えば上記の記事に書いたように『青汁』もそうですし、大きなポイントとしては『食物繊維』ですね。
- 乳酸菌
- オリゴ糖
- 食物繊維
といった栄養素は、その腸内細菌の応援をするために必要不可欠なものですから、それを含むあらゆる食品が、結果的にトリプトファンの濃度を引き上げることにつながります。それに加えて、前述したトリプトファンを直接的に含む食品を摂取すれば、十分な量のトリプトファンが体内に補充されることになりますね。
GABAやグリシン等にも注目
また、トリプトファンと同様に、
- GABA
- グリシン
- テアニン
- ヴァレリアン
- カヴァカヴァ
も心の安定には有効です。『ササッとわかる「SAD 社会不安障害」 あがり症の治し方 (図解 大安心シリーズ)』
心の状態に関わるGABAとβ-エンドルフィン
(省略)GABAはアミノ酸の一種で、上昇した血圧を下げたり、気持ちを安定させたりする役目をしています。腹がたっても怒りを抑えて行動を制御するなどの役割を持ち、ストレスへの抵抗力を高めるともいわれています。
『これは効く! 食べて治す 最新栄養成分事典』にはこうあります。
脳細胞を活性化するγ-アミノ酪酸(GABA)
アミノ酸の一種で、脳に多く存在する抑制性の神経伝達物質です。お茶や発芽玄米に多く含まれており、体内ではグルタミン酸から合成されます。
GABAが多く含まれる食品
- お茶
- 発芽玄米
このあたりの栄養素も意識して摂るようにしたいですね。その他の更に詳しいことは下記の記事にまとめましたので、併せてご確認ください。
睡眠に効く栄養素とサプリメント『GABA、グリシン、テアニン、ヴァレリアン、カヴァカヴァ、カモミール』
しかしとにかく『バランスよく色々な物を食べる』という言葉は至言ですね。
的を射た言葉。
『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にもこうありますが、
このように調べていくと次々出てきて、結局は肉や魚のおかずを中心に、あれこれバランスよく食べなさい!という聞きなれたアドバイスに落ち着いてしまうのである。
まさにそれが至言であり、偏食はその真理に逆らった、間違った行動であることになります。ここに挙げたあらゆる食品はすべて『体にいい』とされているものばかりですから、そうした食事を意識して、バランスよく食べることが人間のあらゆる心身の健康につながっているのです。
先生
ハニワくん
- トリプトファンが足りず、十分なセロトニンが作れず、メラトニンの合成がままならない人は、自律神経が乱れ、睡眠不足に悩まされるし、あがり症、うつ病といった精神不安定の状態を作りやすくなる。
- 北欧のある地域では、冬季に太陽光を浴びれないために、セロトニン不足に陥りやすくなる。
- 『トリプトファンを破壊していた免疫系の過剰反応を抑える細菌』を摂ることにより、トリプトファンの血中濃度が上がる。
- GABAやグリシン、ビタミンB6とブドウ糖等にも注目。
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