『ヒト』を最適化しよう。

ルソー『人は、善意を別にすれば、何にでも手向かうことができる。』

名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!

ふむ…。

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考察

手向かう』というのは、腕力や武力を用いて抵抗する、という意味である。『善意』以外の全ての行動に、人間は手向かうことが出来ると言っているのである。

 

これについては、私が書いたキリストの言葉の超訳、

 

ここに、ちょうどこのテーマについて書いた記事がある。この『殺人鬼と無邪気な子供』を見て、どう思うだろうか。だが、私はこんな話を持っている。ある時、ロードワークの帰り道でコンビニに寄り、買い物をしようとした。ロードワークというのは、ジョギングよりもハードな走るトレーニングだ。坂道を走ったり、シャドーボクシングをしたり、ダッシュをしたりする。結構ハードなトレーニングだ。

 

トレーニング

 

私はそのロードワークを終えて疲労している中、コンビニに寄ったわけだ。しかし入るや否や、あわただしく店員が一人の客に対して声を荒げていて、すれちがったその客は怪しい雰囲気で、挙動不審に目を泳がせながら、早歩きで店を出ていった。

 

私はとっさにその客が『万引きをした』と察知した。実は普段、そこのコンビニの店長がぶっきらぼうな人間で、あまりいいイメージを抱いていなかったのだが、私はその時、そんなことよりもその人間を追いかけなければ後悔すると直感し、その直感に従った。

 

明らかに追いかける私を見て走り出すその人間は、万引きをしているに違いなかった。浮浪者のような恰好をしたその男を追いかけて捕まえると、激しく抵抗し、自分の無実を訴えた。

 

私が思いっきり彼の胸ぐらをつかむと、その力におじけづいたのか、無駄な抵抗をすることはなくなった。私とて達人ではないので、油断したら逆にやられてしまうわけだが、思いっきり力を入れたことでお互いの力関係がハッキリしたらしい。余計なトラブルに発展しないのは良かった。

 

力関係

 

私はジャージだった。ロードワークの後だからだ。血気盛んなジャージ姿の私が、浮浪者のような男の胸ぐらをつかんでいる姿は、通りすがりの人から見たらどう映るだろうか。そのまま警察を呼んでもらおうと通行人に声をかけるが、誰一人こちらに目を向けないで、見てみぬふりをしている。

 

だんだん腹が立ってきた。そもそも私は疲れている。シャワーも浴びていないし、心身共にヘトヘトだ。この男が物を盗ったという確証はないが、明らかに私を見て逃げたのは怪しいし、とにかくさっさと警察なりなんなりに渡して、家に帰りたかった。

 

私は『善いことをしたはず』なのに、この男からは力強く抵抗されるし、コンビニの店員も追ってこないし、通行人は見てみぬふりをするし、なんだか自分が一体何をしたいのかよくわからなくなってきた。

 

また一人の通行人が現われた。自転車でさっそうと通り抜けようとするその女性に対し、またもや見てみぬふりをされると思ったらいい加減頭に来て、

 

おい!!!!!!お前だよ!!!!!

 

と、ヤクザのような大声をあげてその女性を威嚇し、強引に彼女の足を止めた。

 

彼女は恐る恐る私の方を振り向くと、

 

…なんでしょうか。

 

とつぶやいた。私は言った。

 

悪いね、ちょっとこの男万引き犯だから、捕まえたから警察呼んでくれる?
あ、はい。私はどうすればいいですか?

 

電話してくれればいいから。ここの住所を言って呼んでくれればいいから。それだけしてくれればあとはこっちでやるんで。
わかりました。

 

そう言うと彼女は携帯電話を取り出し警察に電話をした。もう彼女に用はなかったが、彼女は警察が来るまでその場にいてくれた。そしてその間私にこう話しかけた。

 

勇敢ですね。

 

そう言ってもらえて、少しは疲れが取れたような気がしたが、なんだかドッと疲れが出てしまっていて、私はその女性に礼儀正しく対応する冷静さを持ち合わせていなかった。警察が来て男と私はパトカーに乗った。そしてコンビニに行くと事情聴取が始まった。男は商品を持っていなかった。すると警察は、ジャージ姿で血気盛んな、登場したときに胸ぐらをつかんでいた私の方に、妙な目を向け始めた。

 

パトカー

 

しかし、コンビニの店員が事情を話し、私がその店の常連客であり、また、おそらく私がその男を万引き犯だと思って追いかけてくれたのだろう、ということを説明した。しかし、例の店長がぼそっとつぶやくのが聞こえた。

 

…こういうのって、現行犯じゃなきゃ意味ないから、これ以上はもう時間の無駄だよ。

男性

 

私はロードワークが終わってから一時間、シャワーも浴びずに警察に囲まれてコンビニの奥に連れ込まれ、コンビニから大した感謝もされずに、男も『万引き未遂』ということで、無駄に警察から疑いの目をかけられ、踏んだり蹴ったりだった。私は『善いこと』をしたはずなのに、終わった後は逆に(関わらなければよかった)と思った。気持ちがスッキリするはずだったから直感に従ったのに、逆に気持ちはモヤモヤしてしまう結果になった。

 

『人は、善意を別にすれば、何にでも手向かうことができる。』

 

確かにルソーの言う通り、結果的には私の名誉が著しく損なわれることはなかった。途中で会った通行人の女性にも、勇敢な人間だと評価を受けた。それは私の一連の行動が『善意で行ったこと』だということが結果的に伝わったからだ。しかし、私が味わった思いは決していい思いではなかった。だから私はルソーのこの言葉を受け、あまり大げさに感銘を受けることはできない。

 

ただ、あれはまだ私が25歳やそこらの頃の話だ。私の器が小さかったこともこの問題のどこかに関係しているだろう。私が疲れておらず、もう少し精神的に大人だったなら、この問題はまた違う結果になっていたかもしれない。

 

 

 

MEMO
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