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福沢諭吉『猿に見せるつもりでかけ。おれなどはいつも猿に見せるつもりで書いているが、世の中はそれでちょうどいいのだ。』

偉人たちの言葉に潜む『黄金律』を見抜け

偉人

ふむ…。

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考察

この顔が好きな人は、別の意味で大勢いるだろう。一万円札の肖像、福沢諭吉である。『西洋事情』、『学問のすゝめ』等、福沢が書いた本は総部数340万部という驚異的な数字だった。なぜ、福沢の著書はこんなにも多くの人に読まれたのだろうか。

 

あるとき、筆一本で食べていこうと決意した尾崎行雄が福沢を訪ねたときの話だ。尾崎が『識者(物事の正しい判断力を持っている人。見識のある人)』にさえわかってもらえればそれでいいから、そういう本を書きたいと話したところ、福沢は、

福沢諭吉

馬鹿者!

 

と一喝した後、こう言ったのだ。

『猿に見せるつもりでかけ。おれなどはいつも猿に見せるつもりで書いているが、世の中はそれでちょうどいいのだ。』

 

この話は実は奥が深い。そもそもこれだけを見れば、やはり結果を出して、名も売れている福沢諭吉の方が、圧倒的に賢いことを言ったように見えるが、尾崎行雄という人間がそんなにも愚かだったということなのだろうか。

 

いや、『識者』などということを言っている時点で、この尾崎という人間の知的レベルは、とても高い。ましてや、その『識者』に読ませる本を書こうというのだから、どれだけ彼が知的なのかどうか、少し考えればわかるはずだ。だが、福沢はそう言った。そして実際に、それだけの本を世に読ませたのだ。

 

本

 

以前、視聴率男と呼ばれていた島田紳助は言っていた。

『東大や京大の先生なんかは、テレビには向かない。なぜなら、彼らは普段、東大生や京大生といった、頭のいい奴らを相手にしてる。だから、一言二言、『あれやっておけ』と言えば、生徒たちはそれを、10にも100にも勝手に理解して自主的にやってくれる。

 

でも、テレビの視聴者はちゃう。テレビを見ている人たちは、大体暇つぶしだったり、寝転んでリラックスして観てるから、偉い先生が難しい言葉を一言二言並べ立てたぐらいじゃ、理解しない。そこまで身構えてへんからや。

 

だからテレビに向いているのは、二流、三流大学の先生たち。その先生たちは普段、落ちこぼれや、とにかく一流を相手にしてないから、馬鹿にもわかりやすいように丁寧に説明する習慣がついている。我々テレビの演者もそうだが、基本的には馬鹿ばっかりや。だから我々のような凡人には、そういう先生の言葉がわかりやすいということや。』

 

たしかに、政治討論番組で堅苦しい面々が、専門用語を並べ立てて罵倒し合っている場面を観たいと思う人や、話していることをすべて理解できる人(識者)は、テレビ視聴者には、圧倒的に少ないだろう。

 

テレビ

 

確かに彼ら政治家は賢い。だが、本当の『知性』とはなんだろうか。福沢諭吉のように『その仕組み』を理解していれば賢いかと思いきや、島田紳助も理解していたが、彼の場合は金と視聴率は手に入れたが、不正行為にも手を染めていたのであれば、彼に『知性』があったと言えるのだろうか。

 

ソクラテスは言う。

 

だとしたら、尾崎行雄のように、別に本は売れなくても、政治家のように、別に大衆のすべてには理解されなくても、識者同士だけで討論して生きたほうが、知的でいられるような気さえする。だが、おそらくそれではダメだろう。人間とは、識者だけのことを言うのではない。そうでない人、例えば子供は識者ではないはずだ。そういう人たちもすべて含めて、人間なのだ。

 

なるべく多くの人間と向き合って討論し、人間力を高めてもらうために意見を主張する。そういうことが出来なければ、本当に知性がある人間とは言えなさそうである。ちなみに私のこのブログのサブタイトルは、

 

『”Information”<”Intelligence”』

 

つまり、情報よりも、知性を追え。という意味である。

 

いや、確かにどちらの意味も実は、『情報』という一括りにはできる。だが、一時的な流行、例えば今ならLINEがどうとか、一発芸人がどうだとか、SMAPに楽曲を提供した今注目のアーティストとか、おしゃれなアイテムや流行のなんたらとか、そういう『情報』は、別に目を凝らして探さなくても、ぼーっとしてるだけで勝手に目に入り、耳に入り、頭に入ってくるものだ。

 

だが、『知性』という情報は自分から探しに行かなければ見つからない。この言葉にはそういう意味があるのだ。だから、言うなれば今の私は『未熟者の尾崎行雄』なのである。

 

だがそれは、あえてやっている。私の場合、最初から目的は『筆一本で食べる』ことでも『大勢に見せること』でもなく、『自分の知性を高めること』だ。つまり私は、勉強中なのである。最低でもあと数年は高め続ける努力を継続しなければ、およそ世の中に意見など発信する資格など身につかないだろう。福沢諭吉のこの言葉の意味は深い。彼が突き詰めた境地の難しさを、物語っているのである。

 

山

 

 

 

 

MEMO

※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。

 

Check

こうして名言と向き合って一つずつ内省したその数『8000』。では、なぜ「1万」ではないのか──それは、内省の後半になるにつれ、『同じ的を射る言葉』が増えてきたからです。そして私はその浮かび上がった真理を、『38の黄金知』としてまとめました。

 

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※ここからは運営者である私の『言葉だけを見て内省した解釈』ではなく、人工知能ChatGPTにおいて『正確性と中立性』を軸に今回の名言を考えてみましょう。

 

名言提示(再掲)

福沢諭吉『猿に見せるつもりでかけ。おれなどはいつも猿に見せるつもりで書いているが、世の中はそれでちょうどいいのだ。』


一般的な解釈

この言葉は、「何かを伝えるときは、あまり難解にせず、誰にでもわかるように簡潔かつ率直に表現するのがちょうどよい」という趣旨を持っています。福沢諭吉は、啓蒙活動を通じて庶民層への教育を推進した思想家であり、知識や思想を独りよがりに終わらせず、社会に届くかたちで共有することを重視していました。この発言は、伝達の本質や表現の工夫をめぐる一種の実践哲学としても受け取ることができ、今日の教育・情報発信・メディア表現にも通じる視点を提供しています。


思考補助・内省喚起

この言葉は、「自分は他人に伝える内容を、難しすぎるものにしていないか?」「自分だけが理解できる表現にとどまっていないか?」という問いを投げかけてくれます。高度な知識や思考をもっていても、それが人に伝わらなければ社会的には意味を成しません。わかりやすさは知性の証でもある――その実践的教訓を、この言葉は示しています。


翻訳注意・文化的留意点

文化的背景:

「猿に見せるつもりで」という表現には、近世以降の日本における「教育啓蒙のためには語彙・論理を可能な限り平易にすべし」という思想が反映されています。福沢は知識階級に属しながらも、民衆に語りかける口語文体を積極的に導入し、広く理解されるための工夫を重ねました。「猿」は侮蔑ではなく、極端な仮想読者設定としてのレトリックです。

語彙の多義性:

「猿に見せるつもりで」は直訳で “as if writing for a monkey” となると誤解や侮辱的ニュアンスが強まるため、”in the simplest terms possible” や “as plainly as if explaining to someone who knows nothing” のように、意図を汲んだ意訳が求められます。また「世の中はそれでちょうどいい」は “that’s just right for the world” では曖昧すぎるため、”that’s exactly what the world needs” のように価値判断を含めると意図が伝わりやすくなります。

構文再構築:

全体を英訳する場合、「猿に見せるつもりで書く/それでちょうどよい」という二段構造を活かして、“Write as if you’re explaining to a monkey. That’s exactly the kind of clarity the world needs.” のように、口語調かつ断定的に再構成するのが効果的です。


出典・原典情報

出典未確認

この言葉は複数の媒体や文献で紹介されていますが、一次資料(書簡・演説録等)における明確な出典は確認されていません。伝聞・再構成された可能性があります。


異訳・類似表現

異訳例:

「おれはいつも、全然知識のない相手にもわかるように書いている。世の中ってのは、むしろそれぐらいでちょうどいいんだよ。」

思想的近似例:

「分かったつもりではなく、伝わるように語れ。」── 出典未確認

「If you can’t explain it simply, you don’t understand it well enough.」── アルベルト・アインシュタイン

 

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