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聖剣『エクスカリバー』を抜け!ケルト神話から受け継がれる誇り高き心構え

ハニワくん

先生、質問があるんですけど。
では皆さんにもわかりやすいように、Q&A形式でやりとりしましょう。

先生

フランスやイギリスにも神話はある?わかりやすく簡潔に教えて!

あります。彼らの祖先であるケルト族の『ケルト神話』ですね。

ハニワくん

なるへそ!
も、もっと詳しく教えてくだされ!

博士

どの地域にも独自の神話があります。

ケルト族というのは紀元前1000年頃から存在していた民族であり、紀元前600年頃にはフランスのガリア地方、イギリスのブリタニア地方や、ローマにまで進出しました。フランスとイギリスの人々には、少なからずこのケルト族の血が流れているということになります。しかし最も多いのはアイルランドで、スコットランドを合わせたこの4か国あたりにある神話がこの『ケルト神話』です。

 

『アーサー王と円卓の騎士』、『聖剣エクスカリバー』などのキーワードが有名ですね。ケルト神話の特徴は『魔術を使う』ことで、『シンデレラ』や『ハリーポッター』で魔法使いが出てくるのは、このエリアに蔓延していたケルト神話の影響です。

うーむ!やはりそうじゃったか!

博士

ハニワくん

僕は最初の説明でわかったけどね!
更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

先生

ケルト族の『ケルト神話』

アベンジャーズの『ロキ』は北欧神話ではもっと凶暴な存在だった!?

 

上記の記事までに、様々な地域の神話について考えてきたが、今回で神話編は終わりである。次に宗教編があり、哲学編をまとめる。さて、最後の神話は『ケルト神話』だ。ケルト族というのは、紀元前1000年頃から存在していた民族であり、紀元前600年頃にはフランスのガリア地方、イギリスのブリタニア地方や、ローマにまで進出した。勇敢で好戦的な気質の遊牧民だったが、紀元前100年頃に、カエサルによって征服されることになる。

 

カエサルは、政治家・軍人としてはもちろん、「ガリア戦記」に代表される著作家としても高く評価されているが、この『ガリア』というのが彼らケルト族のことだ。

 

ガリア人 ケルト族
ガリア 領土

 

これはフランス語では『ゴール(gaul)』であり、フランス初代大統領シャルル・ド・ゴールも、このケルト族(ゴール)が由来になっている。つまり、フランスとイギリスの人々には、少なからずこのケルト族の血が流れているということになる。最も多いのはアイルランドだから、このケルト神話というのは、

 

  • フランス
  • イギリス
  • アイルランド
  • スコットランド

 

あたりに広く蔓延していた神話ということになる。

 

『アーサー王と円卓の騎士

例えば『アーサー王と円卓の騎士』の伝説にも、このケルト神話が影響している。

アーサー王の伝説上の物語はその配下の12人の円卓の騎士たちの物語とともに語り継がれ、多くのバリエーションを持つが、次第に理想のキリスト教的君主として描かれるようになっていく。ロマン主義の時代にも作品のモチーフとして非常に好まれ、現代でもしばしば映画の題材となっている。物語の細部化に伴い、円卓の騎士の数も次第に増加していった。またアーサー王伝説は、聖杯伝説などとも結びついていく。それらの伝説の中でユーサー・ペンドラゴンの息子アーサーは、「これを引き抜いた者は王となるだろう」と書かれた台座に刺さっていた剣を引き抜き、魔法使いマーリンの助けで名君に成長していく。その途中湖の中で聖剣エクスカリバーを入手したり、キャメロット城を拠点として巨人退治やローマ遠征など様々な冒険を重ねフランスやイタリアなどを支配する巨大な王国となる。

[アーサー王(ハワード・パイル『アーサー王と騎士たち』の挿絵)]


参考
アーサー王物語としてのアーサーWikipedia

 

ケルト神話の主神は『ダヌ』である。また、古代ケルト族には魔法を使ったり、超能力を使ったりして、病を治すこともあった『ドルイド』と呼ばれる祭司的な立場の指導層がいた。

 

 

トゥアタダナン族はこのドルイドの呪術と技術を利用し、4つの都市から4つの神秘的な宝物をもってきてアイルランドを侵略した。

 

4種の神器(正式な呼び名ではない)

  1. バリアスからの『パールの石』
  2. ゴリアスからの太陽と知恵の神ルグの『無敵の槍』
  3. フィンディアスからの誰も避けられないという戦いの神『ヌアダの剣』
  4. ムリアスからの大軍を食べさせられる豊穣の神『ダグダの大釜』

 

この4つの神秘の宝物によってトゥアタダナン族ははアイルランドの主となった。ちなみにこの『パールの石』には、先ほど出てきた聖剣エクスカリバーが刺さっていて、正当な王位継承者だけがその剣を抜けるというストーリーがよく使われることがある。2017年に公開された映画『キング・アーサー』はハリウッドで最も大赤字を出した映画とされていて、これによりワーナー・ブラザースは1億5000万ドルの赤字を計上したとされているが、私が観た限り、別にそこまで駄作でもなかった。

 

 

ここには聖剣エクスカリバーも出てくるし、アーサー王の爽快な活躍を見る分には別に文句はない。

 

『魔術を使う』特徴がある

このケルト神話の特徴は『魔術を使う』ということで、その他の神話とは少し毛色が違うが、誰もが知るような王道の魔法フィクションには、このケルト神話が影響していると考えられている。

 

白雪姫 継母がリンゴ商人に変身 ドイツ生まれ
シンデレラ かぼちゃの馬車等 フランス生まれ
ハリーポッター 箒で空を飛ぶ、魔法等 イギリス生まれ

 

 

また、普通戦争というのは『戦いに勝つ』ことがすべてであり、そのためには卑怯な手段もいとわないが、ケルト神話では『一対一』の戦いが目立つ。ここで育った崇高な精神は、のちに『西部劇の決闘』などの、様々な戦いにおける心構えに影響を与えているという。

 

さて、今まで様々な神話を見てきたが、やはり神話というのはとても『自由な発想』で作られているのがわかる。『神』が想像されたのは、

 

  1. 圧倒的な自然現象の正体がわからなかったから
  2. 人間を統率するための『人間以上の存在』が必要だったから

 

という2つの大きなポイントが影響していると考えられる。つまり、まず最初に『動物と同程度の知能の人間』が、『圧倒的な自然現象の正体がわからない』ことから、超自然的な存在を想像するようになった。そして、農耕社会が始まり、秩序を必要とした人間が、その時の『神話』を基に『神』をそれぞれが独自的に創造し、それに従って統率していくようになったわけだ。それが宗教の起因である。

 

STEP.1
狩猟採集時代
人々の知能は動物と同程度。神話が想像され、言語が発達して、神話が作られていく。
STEP.2
農耕社会への移行
人々の知能が徐々に発達。秩序を必要とし、宗教が生まれる。
神話 狩猟採集時代に生まれた 自由でめちゃくちゃな発想
宗教 農耕社会を作る過程で生まれた 秩序を作るためのきっちりとした規範

 

神話=『めちゃくちゃ(混沌)』。宗教=『きっちり(秩序)』の理由

 

農耕社会が始まるのは『紀元前5000年頃』からとされている。したがって、そのあたりから徐々に神話が宗教へと移行していくのだが、しかし当然、神話から宗教へ移り変わるとき、急に『黒⇒白』にコントラストがはっきりするわけではなかった。グラデーション的に、徐々に論理的に説明できるようなシナリオへと移り変わり、そして現在の『科学』へとつながっていくのである。

 

 

次の記事からは『宗教編』となる。宗教編を理解するためには、まずその前に神話があり、それがどのような理由で生まれ、そしてなぜ宗教を必要としたのか、という人間の歴史を考えることで、それが容易になる。

 

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参考文献