Contents|目次

人類はエネルギーを『もっと掘り起こす』べきか『制限する』べきか?

バックミンスター・フラーの著書、『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命 』にはこうある。

人類にとっての宇宙エネルギーの収入はすべて、水力、潮力、波力、風力、植物が生成するアルコール、メタンガス、火山活動といった、われわれの重力と星(その99%が太陽)がもたらす宇宙の配当から成り立っている。人類の現在の総エネルギー消費は、そのエネルギー収入の割合から見れば1%のさらにその400万分の1にしかすぎない。

 

この事実を受け、どう考えるかだ。解釈は二通りある。

 

  1. 宇宙エネルギーをもっと有効に使えるように頭を使う。
  2. 有限の資源をもっと大事に使う。

 

つまり、人類の現在の総エネルギー消費は、宇宙エネルギー収入の割合から見れば1%のさらにその400万分の1にしかすぎないのだから、もっと使えるようにするか、それともこれ以上無駄な『浪費』をしないようにするかということだ。ではここで下記の記事に書いた内容を引用しよう。

 

『人生の免許』と『人が使うべき最強の自律ツール』とは

 

 

宮崎駿が世に出るきっかけとなった名作映画『風の谷のナウシカ』は、地球環境の保全に取り組む民間の団体『WWF』からも推薦された作品です。そのWWFホームページに書かれている『エコロジカルフットプリント』とは、『人間が地球を踏みつけた足跡』です。人間がどれだけ地球の資源を使ってしまったか、浪費してしまったかを表す言葉です。

 

 

例えば米国のエコロジカルフットプリントは1人あたり9.5ヘクタールです。これは人類全員が米国人のような暮らしをすると、地球が5個以上必要となる計算になります。つまり地球環境に悪影響となっているのです。一方、人類全員がインドネシア人のような暮らしをすると、地球の天然資源・環境資源は現在の6割程度で賄えることになります。つまり地球環境に良い影響となっているのです。そして日本のエコロジカルフットプリントは1人あたり4.3ヘクタールです。人類全員が日本人のような暮らしをすると、地球が2個以上となります。つまり地球全体を考えた場合、日本は環境破壊と資源消費について悪影響なのです。

 

人類全員が○○人のような暮らしをするとどうなるか

アメリカ人 地球が5個以上必要
日本人 地球が2個以上必要
インドネシア人 地球の6割程度で足りる

 

このエコロジカルフットプリントの話を聞いたとき、『アベンジャーズ』のサノスがやった行動を思い出した人はいるだろうか。ネタバレが嫌な人はこれ以上記事を読まない方が良い。

 

 

彼は悪役としてあれをやったが、手塚治虫の『ブラックジャック』に出てくるドクター・キリコ然り、もし、サノスやキリコが主人公であり、読者や視聴者が『彼の生い立ち』や幾多もの『共感できるドラマ』を見ていたら、彼らに対する見解は違っていた。我々はあれらを『アベンジャーズ視点』、『ブラックジャック視点』から見ていたので彼らが『悪人』という認識を持っているが、私はそこにある善悪の境界線をたまに見失うことがある。

 

もちろんサノスは宇宙の人口を半分にし、ドクター・キリコは安楽死をする中で、同時にどこか穿(うが)った考え方を持っていた。だから彼らのことを正当化するつもりはない。そして『だからこそ』多くの視聴者は彼を『悪人』だと認識しやすかっただろう。そして、ドクター・キリコの安楽死に関しても、この世界でも意見が真っ二つに割れるだろう。

 

しかし私は、当時私より年下だった、29歳で尊厳死を選び世界の人々を葛藤させた、ブリタニー・メイナードの言葉を、忘れない。

『この世界は美しい場所です。旅は、私にとって最も偉大な教師でした。最も偉大な支援者は、近しい友人や仲間たちです。こうしてメッセージを書く間にも、私のベッドのそばで応援してくれています。さようなら、世界。良いエネルギーを広めてください。次へつなげましょう。』

 

安楽死を公に認めるという話はさておき、私は彼女がこうして『尊厳死』を選んだことを責めるつもりは一切ない。自分の命がもうすぐ終わるのがわかっていて、これ以上時間が経ち、死に近づくと激痛に耐えられなくなり、自分が自分でなくなり、最愛の人々に迷惑をかける。そんな最期を迎えるくらいなら、私も彼女のように尊厳死を選ぶし、延命措置は取りたくない。

 

映画『プライベート・ライアン』では、戦場で致命的な傷を受けた兵士が、仲間にモルヒネを大量投与してほしいと懇願する。しかし仲間はそれができない。なぜならモルヒネは、投与量を間違えたら死んでしまうからだ。

 

 

しかし傷を負った兵士は素人ではない。もう自分が死ぬのがわかっている。仲間もわかっている。そんなとき、私は彼が自ら死を選ぶ選択肢を選び、仲間がその気持ちを汲んで楽に死なせてやる行動を、私は責めるつもりは一切ないし、そんな資格は持っていないのである。

 

サノスの話はどうだ。もし彼がやったことが『宇宙の有限なエネルギーを考えた行動』であれば、私は彼に対する見方がガラッと変わる。もちろんそうじゃないだろうし、先ほど考えたように選択肢はもう一つあるわけで、彼の行動を正当化するつもりはない。

 

つい先日アインシュタインが100年前に予測したほぼそのままの形でブラックホールが発見された。それは各銀河の支配者かのように真ん中にあり、そこに物を入れると同じ質量のエネルギーが返ってくるという。つまり、放射線廃棄物をブラックホールに入れればそれを完全に闇に葬ることができるだけじゃなく、それと同等のエネルギーがこちらに返ってくるのだ。

 

これは一体何を意味するのか。

 

参考文献

当サイトの主な参考文献