フィッシャー・タイガー『殺したら負けなんだ!!あいつらと同類になりてェのか!!?』

負の連鎖を断ち切るのは自分だ、という矜持を持つ。それこそが真に勇気のある人間が持つべく誇り（プライド）である。だが、マルコムXら一部の黒人たちのような、 400年もの間続いた黒人差別に対して取った行動を、誰が責めることが出来るだろうか。少なくとも『責める』ことが出来るのは、『同じ経験』をした人間だけだ。それ以外の人間が、当人たちの気持ちを理解できるなどと、軽はずみに思ってはいけない。

だが、だからといって、『私には理解できるはずもない』と言い捨て、まるで『人の気持ちを理解した人間』を装い、実際の部分では当たり障りのない言動を取っただけ、という人間も、卑怯者だ。いわゆる、『見て見ぬフリ』というやつだ。これが人間には圧倒的に多いだろう。見たくない事実に蓋をし、あるいは見て見ぬフリをし、隠蔽し、そして自分と自分の家族の人生だけを最優先にして生きていく。彼らのことは決して見下すことは出来ない。だが同時に、尊敬することも出来ない。