コラーゲンが好きな人は大勢いる。特に女性がそうだろう。コラーゲンを摂れば『プルプルのお肌』を手に入れることができると考えるからだ。しかしあるとき、豆腐チゲ鍋の店で食事をしていると、隣にいた女子高生グループの一人が、こう言っていた。
当然私がそのような『町の噂』を盲信することはない。しかし、半信半疑だ。つまり、完全に疑っているわけではない。確かにそれ以前に私もどこかでそれに近いような話を聞いていたので、その話が本当かもしれないということが頭をよぎったが、まずその場では、
うーむ。どっちだろう。
と考えて、その場を後にした。『健康にいいものばかり食べていると早死にします』にはこうある。
コラーゲンは口から摂取しても肌に届かない
- コラーゲンは消化される
たんぱく質であるコラーゲンは、食べるとアミノ酸に分解され、コラーゲンではなくなります。つまり、食べたコラーゲンがそのまま肌にたどり着く、ということはありえないのです。コラーゲンが骨や軟骨にもあることから、関節痛にもよいとされることがありますが、関節に都合よくたどり着くことも考えにくいですね。
- コラーゲンは肌から吸収されない
コラーゲンは食べるだけではなく、塗っている人もいます。しかし、アミノ酸が100個以上もつながった巨大なコラーゲンが肌を通り抜けることはありません。それどころか、アミノ酸からできているので雑菌の繁殖を招く恐れもあります。さらに、防腐剤をたっぷり入れているので、これが皮膚炎を起こすこともあります。ちなみにこのコラーゲンを魚や肉から加工して取り出したものがゼラチンです。コラーゲンとゼラチンが同じものなら、ゼラチンを買ったほうが安いといえるでしょう。
答えは出ているようだ。コラーゲンを食べても、肌に直接塗っても、効果を得られないのだ。女子高生の情報は当たっていたのである。
基本的にこのような栄養を摂っても、その栄養が『届けたい場所』に必ず届くということはない。体中の至る所で、栄養を欲しがっている状態が存在しているので、それらに横取りされ、そこに届かないのである。つまり、コラーゲンを摂って顔のもちもち感をアップさせたいと思っても、それは叶わないということだ。
あるお金持ちの女優が、朝に『5,000円もするフカヒレのスープ』をコラーゲン目的で食べていると言っていた。世の多くのお金に余裕がある女性たちは、きっとそのようにお金に物を言わせて様々な対策を取っていることだろう。
もちろん、それは完全に無意味ではないが、『そこまで効果はない』ということを知るべきである。他に使うお金がないならいいのだが、世の中には寄付や投資先等、目を凝らせば『お金を使うべきポイント』がたくさんあるはずなので、美にしがみつき、金に物を言わせてエゴをひた守り続けるその様相は、あまり人として賢い人間には見えない。しかもそれが『間違ったお金の使い方』なら尚のことそうである。そういうことがないように気を付けるべきである。
気持ちはよくわかる。私も常に美肌を保ってきたが、30代を超えたあたりからニキビ痕が残ったりして、老化に逆らえなくなった。見た目や若さで人生が変わることもある運命を強いられている女性なら尚のこと、そこにしがみつきたい気持ちはよくわかる。
だが、女性ホルモン(エストロゲン)が減ると、コラーゲンも減少するとことがわかっている。年を取れば必ず女性ホルモンは低下する。私はそれを阻止しようと執着する女性より、山口百恵や、樹木希林のように、真理を受け入れて自然体で生きる女性の方が、賢く、価値がある人に見える。
『ルパン三世 VS 名探偵コナン【THE MOVIE】』 のシーンで出てくる峰不二子と灰原哀の会話に、こういうものがある。峰不二子は、薬によって子供の姿に変えられた灰原哀に、その薬を使って自分も若返ると、野心を語った。しかし、灰原哀はこう言った。
灰原哀
灰原哀
[名探偵コナン『ゼロの執行人』青山剛昌(右下:灰原哀)]
エラスムスは言った。
そのような『価値のない女性』に成り下がってほしくなかった灰原哀は、峰不二子にそう言ったのだった。
まあアニメのキャラは老けないのだが。
参考文献