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あなたはこの世界が『5分前に始まった』仮定を完全に覆すことができる?

東大教授、池谷裕二氏の著書『脳と心のしくみ』にはこうある。

時間は人が作り出した?

(省略)哲学者のバートランド・ラッセルは、『世界5分前仮説』を提唱しました。彼が主張したのは、『この世界が5分前に始まったかもしれないという仮定を覆すことができますか?』というものです。これは奇妙な仮定のように聞こえますが、私たちはこの仮定を確実に覆す手段を持っていません。なぜなら、自我もこの世界のあり様も、すべて、個人の『記憶』に全面的に依存しているからです。

 

つまりこういうことだ。

 

STEP.1
5分以上前の記憶がある
例えば、小学生のころ、中学生のころの思い出。昨日の記憶。

STEP.2
しかしそれが『記憶の植え付け』でないと証明できない
誰かに記憶を植え付けられ、鮮明な現実味も、『そう実感するように植え付けられた』可能性がある。

 

映画『インセプション』を観ていればわかりやすいが、インセプションとはまさにこの『植え付け』という意味である。あの映画では、人の夢に入り込み潜在意識にある特定の情報を『植え付ける』ことで、現実の世界で違う人物が優位な立場に立てることから、インセプションを頼まれるところからストーリーが始まる。

 

 

例えば、競合会社が潰れてくれれば、対立する企業は市場で優位な立場を得られる。だから、競合会社の社長に、

 

もう会社を終わらせたい

 

という潜在意識を植え付けることができるなら、大きな報酬を支払ってもいいというわけだ。そのおかげでライバル企業が潰れてくれるなら、報酬を支払ってもおつりが来るほどのメリットがあるからだ。

 

つまりラッセルは、相対性理論でブラックホールの姿かたちをほぼ正確に言い当てたアインシュタイン同様、100年も前に、すでにこのインセプション理論に近い発想を世に打ち出していたのである。権威ある脳科学者は、人間はこの理論を完全に覆す手段を持っていないと言う。いくら実感があっても、確かな記憶があっても、『それ自体を植え付けられた』のであれば、遠く、長く、重く、尊く、愛しく、積み上げてきたようなその記憶の感覚は、まるで当てにならないのである。

 

 

ではどうしたらいいのか。我々はそんな『操り人形の可能性』を心の片隅に抱え、怯えながらこの人生を生きていけばいいのだろうか。そんな時、莫大な力を発揮するのがこの黄金律である。

 

『生きるのは過去でも未来でもない。『今』だ。』

 

過去?未来?インセプション?関係ない。我々は、今、この瞬間を全力で生きるだけなのだ。

 

 

参考文献

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