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【歯周病】歯肉炎と歯周炎の違いは?口臭が出るのはどっち?

歯周病になる流れ

では、冒頭に書いた『歯周病になる流れ』をより厳密に書き直してみましょう。

 

STEP.1
『開始期病変』が起きる
 プラークが歯に付着し始めてから2~4日で起こる歯肉表面の急性の炎症。
STEP.2
その状態を放置すると1週間後には炎症が更に進み、『歯肉炎』になる
 『早期病変』。
STEP.3
歯肉炎が続くと歯と歯肉の間に亀裂(歯周ポケット)ができる
 細菌やその毒素の侵入、細菌に対する防御反応が歯肉に起こり、歯周組織を破壊することがかかわっている。
STEP.4
歯周ポケットが形成されると炎症は歯肉内部にまで広がる(確立期病変)
 歯周ポケットの中はプラークがたまりやすく、細菌が棲みつくのに最適な環境。
STEP.5
炎症がさらに進むと、セメント質や歯根膜、歯槽骨などにも及ぶ(発展期病変)
 この状態を『歯周炎』と呼ぶ。
STEP.6
歯周ポケットから膿が出て口臭がひどくなる
 
STEP.7
歯がぐらつきだし、最後には抜ける
 

 

このように歯周病は、

 

  • 開始期病変
  • 早期病変
  • 確立期病変
  • 発展期病変

 

の4つの分類に分けて進行していくわけですね。しかし下記の記事にも書いたように、『いきなり歯周炎になる』こともあります。

 

 

『歯周病を自分で治す本 (ビタミン文庫)』にはこうあります。

噛み合わせの異常も歯周病の引き金になる

 

歯周病を悪化させる要因として、最近の歯科医学界で注目されているのが、外傷性咬合(歯周組織に外相を生じさせる噛み合わせの異常)です。例えば、虫歯を治療しないでいたり、歯周病などで抜けた歯を放置したりすると、歯列(歯並び)が狂ってきます。人間の物を噛む力は非常に強く、20本の歯には100キロもの力がかかります。そのため、内側に入り込んでいたり、外側へ飛び出ていたりする歯があると、歯列に凹凸ができます。

 

こういう状態では、物を噛むときに特定の歯に負担がかかります。過剰に負担がかかると、負担がかかっている歯の歯槽骨が吸収されやすくなります。物理的に骨を吸収させるわけですから、この場合、歯肉炎から歯周炎へと進む過程をたどらずに、いきなり歯周炎を発症し、気が付いたときは歯が動揺しているというケースが見られます。

 

本来であれば歯肉炎を通ってから、歯周炎になるのが歯周病の流れです。しかしかみ合わせが悪く、外傷性咬合があると、いきなり歯周炎になるわけですね。歯が動揺してくると歯肉溝がだんだん深くなり、グラム陰性菌が好む環境となって、細菌感染しやすくなるのです。

 

 

先生

さっきも言ったように、歯周炎の方が炎症が激しいわけじゃなくて、範囲が広いってだけなんだ!
なるへそ!

ハニワくん

『グラム陰性菌』と『グラム陽性菌』

さて、『グラム陰性菌』と出てきましたね。実は歯周炎の原因菌はこのグラム陰性菌で、歯肉炎の原因菌は『グラム陽性菌』です。『歯周病を自分で治す本 (ビタミン文庫)』にはこうあります。

歯肉炎と歯周炎では原因となる細菌が異なる

 

(省略)口腔内には500種類以上の細菌がいます。その多く(7割程度)は体に害を与えない善玉菌です。そのほかは悪玉菌で、そのうち歯周病の原因になる主な細菌は30種類程度です。これら口の中にいる細菌すべてを総称して口腔内常在菌ということもあれば、歯肉炎の原因となる細菌を除いたほかの細菌を常在菌と呼ぶこともあり、この点は医学的にもあいまいです。

 

(中略)歯周病のうち、歯肉炎の原因となる細菌には、アクチノマイセス・ビスコーサスやアクチノマイセス・ネスランディなどがあります。これらはグラム陽性菌という種類に属します。歯肉炎は、歯肉縁上に歯垢がたまることによって引き起こされます。

 

一方、歯周炎の原因となる細菌では、ポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテーラ・インターメディア、バクテロイデス・フォーサイサス、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス、トリポネマ・デンディゴラスピロヘータなどがよく知られています。これらはグラム陰性菌に属し、歯周ポケット内の歯垢で増殖します。

 

 

上記の記事にも書きましたが、口腔常在菌は表にまとめました。

 

口腔内に生息するおもな細菌(口腔常在菌)

細菌の名称 性質と作用
アクチノバシラス・アクチノマイセテムコミタンス 侵襲性歯周炎の原因と言われる細菌
アクチノマイセス・ビスコーサス 虫歯の原因となる放線菌
コリネバクテリウム・マツルショッティイ 歯石の形成(石灰化)に関与するグラム陽性桿菌
ストレプトコッカス・ミュースタンス 虫歯の原因となる連鎖球菌
ストレプトコッカス・サングイス 虫歯の原因となる連鎖球菌
ストレプトコッカス・サリバリウス 唾液中に多い連鎖球菌
スピロヘータ 歯周炎の進行に関与する細菌
プレボテラ・インターメディア 妊娠性歯肉炎や侵襲性歯周炎の原因菌
ポルフィロモナス・ジンジバリス 侵襲性歯周炎の原因となる嫌気性菌

(その他に、連鎖球菌、グラム陽性球菌、歯石の形成に関与する放線菌など、約300種、数千億の細菌が常在している。)

 

これを今回の情報を元にさらにわかりやすくまとめるとこうなります。

 

各歯周病の原因菌

属性 細菌名
歯肉炎 グラム陽性菌 アクチノマイセス・ビスコーサス、アクチノマイセス・ネスランディ
歯周炎 グラム陰性菌 ポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテーラ・インターメディア、バクテロイデス・フォーサイサス、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス、トリポネマ・デンディゴラスピロヘータ

 

要は、『歯肉炎と歯周炎の原因菌は違う』ということですね。また『歯周病を自分で治す本 (ビタミン文庫)』にはこうあります。

歯肉炎の原因菌と歯周炎の原因菌は性質も違う

 

(省略)最大の違いは、グラム陽性菌が細胞内毒素を持っていないのに対し、グラム陰性菌は細胞内毒素を持っていることです。

 

歯周炎の原因菌であるグラム陰性菌は、細胞内毒素を持っています。そしてこの毒素で歯肉や歯槽骨を攻撃し、傷つけます。とくにアクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンスは、ロイコトキシンという特別な内毒素を持っているほか、さまざまな歯周組織を破壊する因子を持っています。

 

また、グラム陰性菌はたんぱく質を部分解する酵素を持っていて、歯肉の粘膜を破壊し、組織に侵入して炎症を起こします。

 

各歯周病の原因菌の概要

毒素 属性
グラム陽性菌(歯肉炎) なし 好気性菌
グラム陰性菌(歯周炎) あり。タンパク質分解酵素もあり。 嫌気性菌

 

こう考えると、冒頭には専門書を参考にして下記のように書きましたが、

 

  • 『この2つの名称は『炎症の激しさ』をあらわすのではなく、『炎症の範囲』を表す。つまり、『歯周炎の方がひどい』ということではなく、『歯周炎の方が範囲が広く炎症している』ということ』

 

結局は歯周炎の方が何かと厄介ですね。

 

先生

よく考えると『範囲が広い』のと『炎症の激しさ』は同じような意味なんだよね!火事で例えたら範囲が広い方がひどい火事だしね!
たしかに!

ハニワくん

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