オロナインやマキロンがニキビに効くって本当?
オロナインは微妙、マキロンは逆効果です。
オロナインは古くて有名であり、長く愛される万能薬ですが、『ニキビに特化した薬』ではないのです。また、殺菌成分は確かにある種のニキビに有効ですが、そもそも『傷をマキロンで消毒する』考え方は、もう時代遅れになってしまっています。マキロンを使ってニキビを治療するということは、
- 善玉常在菌も殺してしまって逆に治癒力を低下させる
- 揮発性があるがゆえに乾燥してしまい、ニキビを悪化させる
- 接触性皮膚炎になる可能性がある
等の理由であまり推奨されません。
先生
ハニワくん
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オロナインは『万能薬』
ニキビをオロナインで治療する考え方がありますが、これは『やむを得ずの最低限のケア』だと考える方が妥当です。オロナインは万能薬ですが、『ニキビに特化した薬』ではないということを理解することが必要です。
下記の記事にも書いたように、ワキガに対しても同じ考え方です。
『赤飯、オロナイン、ハッカ油』を使ってワキガ対策ができるって本当?
効能・効果
にきび、吹出物、はたけ、やけど(かるいもの)、ひび、しもやけ、あかぎれ、きず、水虫(じゅくじゅくしていないもの)、たむし、いんきん、しらくも
成分・分量
本剤は殺菌作用を有するクロルヘキシジングルコン酸塩を配合した親水性軟膏です。1g中にクロルヘキシジングルコン酸塩液(20%)を10mg含有します。なお、添加物としてラウロマクロゴール、ポリソルベート80、硫酸Al/K、マクロゴール、グリセリン、オリブ油、ステアリルアルコール、サラシミツロウ、ワセリン、自己乳化型ステアリン酸グリセリル、香料、精製水を含有します。
確かに効能に『ニキビ』とあります。しかし、その他にもありますよね。水虫や、いんきん等にも効きます。このようにして、オロナインは古くから存在する名万能薬ですが、だからこそ逆に『毒にも薬にもならぬ』一面があるということを知る必要があります。
『オロナインヒストリー』にはこうあります。
「ヤカンに触ってやけどした~」「オロナイン、塗っときなさい」「転んで擦りむいたぁ」「薬箱にオロナインがあるでしょ」
生傷の絶えない子供のころ、耳にしたことがある会話ではないでしょうか。そんな家庭の薬「オロナイン軟膏」は、徳島県鳴門の小さな製薬工場で生まれました。(中略)父の会社に11番目の社員として入社し、1947(昭和22)年に経営を引き継いでいた大塚正士(まさひと)が製品開発に頭を悩ませていたころ、三井物産からある話が舞い込みました。アメリカのオロナイトケミカル社が新しい殺菌消毒剤を開発した、これを使ってみないか・・・。
さて、これを何に使うか?正士が目を付けたのが軟膏でした。当時、メンソレータムやメンタム、 ペニシリン軟膏といった大衆薬がヒット商品となっており、この分野なら安定した売れ行きが期待できると考えたからです。早速、徳島大学の3人の教授に製品開発を依頼。新製品は1952(昭和27)年に完成し、翌1953年には発売にこぎつけました。待望のオリジナル製品第1号は、原材料メーカーの社名から「オロナイン軟膏」と命名。
こうしてオロナイン誕生の物語に目を向けてみれば見えてくるものがあります。オロナインは古くて有名であり、長く愛される万能薬ですが、『ワキガ治療薬』でもなければ、『ニキビに特化した薬』でもないのです。
私はある寮生活をしていたのですが、そこではこのオロナインが色々な病気に使われていました。
- ニキビ
- 凍傷
- インキン
- 水虫
大した医療設備のないその寮では、このオロナインは重宝されていました。しかし、ではそのオロナインで劇的にそれらの病気が改善されたかというと、全くそうではありませんでした。あくまでも、『やむを得ずの最低限のケア』だったという印象です。やらないよりはいいと。
ですから、『ニキビにはオロナイン』というテーマがいまだに根強く残っているのは、ただこのオロナインが『古くから日本で愛用されている万能薬』だからして、多くの人がその存在と組み合わせを知っているからにすぎません。『コーラと言ったらコカ・コーラ』とイメージするように、意識が植えついているだけなんですね。
先生
ハニワくん
知覚の法則
『マーケティング22の法則』にはこうあります。
知覚の法則
多くの人がマーケティングとは商品の戦いであると考えている。長い目で見れば結局、最良の商品が勝利するのだと。(中略)ソフトドリンクメーカーの幹部の中には、マーケティングとは味の戦いだと信じている人たちもいる。では言うが、味に関してはニューコークがナンバーワンである。(コカ・コーラ者が20万人を対象に実施した味覚テストによれば、ニューコークはペプシコーラより味がよく、ペプシはいまコカ・コーラ・クラシックと呼ばれる最初のコークよりも味がよいという結果が出ている)
ところが、マーケティング戦争ではどれが勝ちを収めただろうか。調査でベストの味だとされたニューコークの売上はなんと第三位である。調査で一番まずいと判定されたコカ・コーラ・クラシックが一位なのだ。
このほかにも本には『カテゴリーの法則』や『心の法則』など、商品が世の中に受け入れられるための法則について、たくさんのポイントを教えています。我々には意識がありますが、このようにして、
- コーラと言ったらコカ・コーラ
- ディーゼルと言ったらジーンズ
- ティッシュと言ったらエリエール
などと、強い認識を持っています。このような無意識に刷り込まれている認識があり、そこには法則が渦巻いています。人は、何か商品を買うとき、決めるときに、まず最初にこのような法則に基づいて、自分の無意識に植えついているイメージを想像し、それを優先しようとします。
オロナインはこのようにして、『~になったらオロナイン』という意識づけに成功することができたので、長い間人々に愛され、生き残ってきたんですね。しかし、先ほど『味に関してはニューコークがナンバーワンという事実がある』とありましたね。つまり、古くから多くの人に愛されている商品は、必ずしも最良の商品ではないのです。
オロナインは確かに万能薬ですが、しかしニキビに特化した薬ではないのです。したがって、このオロナインに過度な治療効果を期待するのは間違いだということがわかりますね。
先生
ハニワくん
オロナインは『万能薬』
正直なyoutuberの答え
ではここで、ニキビとオロナインについて語っているyoutuberの『歩乃華』さんの動画を見てみましょう。
【最強説】3日でニキビを治す方法【40個→0個】
彼女の場合、オロナインと下記の2つの商品『プロアクティブ』と『ニベア』は、全く効かなかったと言っていますね。
そして、 『テラ・コートリル軟膏』が効いたと言っています。
ただ注意したいのは、『治るときもあれば、ニキビ痕になることもある』と言っていることです。つまり、『オロナイン等のよく聞く商品よりもテラコートリルが効いたが、確実に治るわけではない』ということですね。人によっても効果に差はあるでしょう。ただ、オロナインの効果がやはりそれほどであるという事実が、この動画からも何となくわかってきますね。
このテラコートリルですが、私も持っているのですが、私はニキビに使ったことはありません。それよりも『びらん』に使います。
粘膜のただれ。
私の場合は、『鼻のかみ過ぎ』などの理由で鼻の穴の中にできもののようなものができるときがあるのですが、その時にこの薬を塗って寝ると、結構すぐに治ってしまう印象です。びらんになることもそうあるわけではないですし、かなりコスパは高いと言えるでしょう。ニキビに試してみてもいいかもしれません。
先生
ハニワくん
市販薬を使う際の注意点
ただ、そのように市販薬をニキビに使う場合は注意点があります。『これでわかるニキビの治療とケア~安易に抗菌薬に頼っていませんか?~』(南江堂)にはこうあります。
一般人においてはニキビは病気ではないという考えも多く、また思春期の女性は医療機関へ行くのが恥ずかしいといった気持ちをもっており、クレアラシルやクリニーク、オロナインなど市販外用薬で治療させようという場合も多く見られる。(中略)市販薬を使ってニキビの症状が悪化した場合、ニキビ自体の症状が悪化して市販薬では抑えられなくなった可能性のほかに、ニキビ外用薬自体による悪化の可能性もあるので、症状の悪化をみた場合には速やかに皮膚科専門医を受診させることが望まれる。
つまり、市販薬を使って素人判断で治療する場合は、症状が悪化する可能性があることも覚悟する必要があり、確実に治すにはやはり皮膚科で治療するべきだということですね。ちなみにこの中学生の彼は、オロナインではニキビはあまり治らなかったという動画を上げています。
【超簡単】オロナインを塗ったらニキビが治るってガチ!?
また、ちょっと検索すれば『オロナインで毛穴を綺麗にする』という噂話があることがわかりますが、その考え方については、医師が苦言を呈しています。
話題!オロナイン軟膏で毛穴が簡単に綺麗になる!?医師の見解【Dr.Ben*】
『オロナイン軟膏H』という『H』は、ヘキシジン(クロルヘキシジングルコン酸塩)のことで、殺菌効果があるもの。『たしかにそれを塗れば多少の殺菌効果を得られるかもしれないけど、毛穴に物が詰まっているというのに、そこにさらに物を塗ってどうするんだ』と医師は説明しています。
ニキビ対策としてオロナインパックで毛穴の汚れを取ろうという考え方は間違っているということですね。覚えておきましょう。オロナインは『古くから日本人に愛される万能薬』であって、『ニキビに特化した薬』ではないのです。『マキロン』もそうですね。
先生
ハニワくん
- オロナインは万能薬だが、『ニキビに特化した薬』ではない。
- 古くから多くの人に愛されている商品は、必ずしも最良の商品ではない。
- オロナインがニキビに効くという人はあまりいない。
- 市販薬を使って素人判断で治療する場合は、症状が悪化する可能性があることも覚悟する必要がある。
マキロンの殺菌・消毒効果
同じく、ニキビにマキロンを使って殺菌・消毒をしたい気持ちはわかりますが、現在その方法は専門医によって推奨されていません。まず理解したいのは『オロナイン』と同じように、マキロンは『ニキビに特化した薬』ではないということです。
往々にして、そのように特化した薬ではない場合は『万能薬』なのですが、万能であると同時に、一つの症状に対する治療効果も劣ります。ですから、そもそもがマキロンはニキビに劇的に効く薬ではないのです。
マキロンの効能を見てみましょう。
効能・効果
切傷、すり傷、さし傷、かき傷、靴ずれ、創傷面の殺菌・消毒、痔疾の場合の肛門の殺菌・消毒
殺菌効果がありますね。ですからたしかにマキロンは、ニキビの原因である『アクネ菌』を殺菌してくれます。アクネ菌が皮脂を餌にして増殖し、炎症するとニキビになりますから、そのアクネ菌を殺すことはメリットがあります。しかし、それと同時に皮膚の善玉常在菌も殺してしまうことになり、皮膚状態を正常化させることの足を引っ張ります。
エタノールやアルコール消毒はワキガ臭を抑える対策になる?デメリットはないのか
またそれはアルコールに限った話ではなく、洗顔・洗体・洗髪においても同じことです。シャンプーやボディシャンプー等を使って過度にそれらを行うことで、同じような現象が起こります。
あるいは皮脂が過剰に洗い落とされる。
カギは『善玉常在菌』ですね。殺菌というぐらいですから、それらの善い細菌も殺してしまうことになるので、それによって警備隊がいなくなれば、やはり皮膚や頭皮の警備が薄くなり、犯罪が多発してしまいます。それが肌荒れやニキビ、薄毛や体臭ということなんですね。
先生
ハニワくん
傷の消毒は『時代遅れ』
下記の記事にも書いたように、現在傷の消毒というのは『時代遅れ』になっています。それよりも推奨されているのは『キズパワーパッド』などによる『自然治癒の手助け』です。
バンドエイド® キズパワーパッド™|正しい使い方
『10万円のクリームより効く「何もつけない」美肌ケア』にはこうあります。
例えば、もし転んでひざをすりむいたら、どのような傷の手当てをするでしょうか。傷を消毒するという人は、『一昔前の治療』をしていることになります。一方で、『キズパワーパッド』などの創傷被覆材(そうしょうひふくざい)を傷に貼って治療するという人は『新しい治療』をしていることになります。今でも傷を消毒しているという人のためにお伝えすると、傷の消毒は、傷の治りを悪くすだけでなく、かえって化膿しやすくなることが明らかになっています。
ですから、そもそも『傷をマキロンで消毒する』考え方は、もう時代遅れになってしまっているのです。『マキロンの公式HP』にはこうあります。
Q2.マキロンsはどんな傷にいいのですか?
A2.マキロンsには、殺菌消毒の成分だけでなく、「傷の修復を助ける」「かゆみを止める」成分が含まれています。すり傷、きり傷、かき傷、靴ずれなどに効果的です。
参考
マキロンsはどんな傷にいいのですか? |マキロンのよくあるご質問第一三共ヘルスケア
たしかにマキロンも、殺菌消毒の成分だけでなく、「傷の修復を助ける」効果もあるとありますね。しかし、それでも最初に『殺菌効果がある』わけで、これによって善玉常在菌を殺し、傷の治りを悪くすだけでなく、かえって化膿するリスクを増やすということなんですね。これに関してはオロナイン同じ考えかたで、『たしかにマキロンを塗れば多少の殺菌効果を得られるかもしれないけど、その代償に善玉常在菌も殺してしまって警備を手薄にしてしまうことは、あまり良い傾向ではない』ということになるわけですね。
それであれば、先ほどのニキビパッチの方が合理的だと言えます。『ニキビパッチは、傷パッチ』だという見解がありますから、もしそれが本当にキズパワーパッドのように治癒力を高める効果がある場合は、ニキビパッチの方がいいですね。ただし、ニキビパッチに関しては専門家が正式にそのような効果があると言っている記述が今のところありませんので、断言するのにもう少し時間が必要です。製品によっても違いがあるでしょう。
先生
ハニワくん
マキロンの殺菌・消毒効果
市販薬を使う際の注意点
オロナインの記事にも書きましたが、市販薬をニキビに使う場合は注意点があります。市販薬を使う場合は往々にして素人判断で使うことになります。確かに、それだからして市販薬というものは最初から効果が薄く設定されてあり、『毒にも薬にもならぬ』薬になっています。しかし、用法用量を守らず大量摂取したり、あるいはアレルギーがある人が組み合わせを間違って処方、塗布等した場合、炎症などの何らかの副作用が出る可能性があるのです。
ここで本にある、市販ニキビ外用薬に含まれる成分を見てみましょう。確かにこのような成分はニキビにも有効であるという解釈は一理あります。
市販ニキビ外用薬に含まれる成分
成分名 | 薬物名 | 主な働き |
---|---|---|
角質軟化剤 | イオウ | 硬く角質化した皮膚をやわらかくするとともに、殺菌力も有する |
サリチル酸 | 角質軟化作用や殺菌作用を有する | |
殺菌・消毒剤 | レゾルシン | 殺菌作用と角質軟化作用、かゆみを抑える作用などをもつ |
イソプルピルメチルフェノール | 殺菌・抗真菌作用があるとされる | |
エタノール | 殺菌・消毒薬 | |
抗炎症・殺菌剤 | イブプロフェンピコノール | 抗炎症作用とリパーゼの働きを抑えることで裕理脂肪酸ができるのを押さえてニキビの効果をあらわす |
サルファ剤 | スルファチアジン | 細菌の葉酸合成を阻害することで、抗菌作用をあらわす。皮膚の感染症の原因となりやすいブドウ球菌などの他、大腸菌にも効力があるといわれる |
抗炎症剤 | グリチルレチン酸、グリチルリチン酸(ジカリウム) | |
抗ヒスタミン剤 | ジフェンヒドラミン | |
生薬 | キキョウ、オウゴン | |
収斂・保護剤 | 酸化亜鉛 | |
その他 | アラントイン | |
カンフル |
参照『これでわかるニキビの治療とケア~安易に抗菌薬に頼っていませんか?~』(南江堂)
ではマキロンにはこのうち何が含まれているでしょうか。
成分・分量
100mL中
- ベンゼトニウム塩化物・・・・0.1g アラントイン・・・・0.2g
- クロルフェニラミンマレイン酸塩・・・・0.2g
- 添加物:エタノール、塩化Na、pH調節剤、香料、チモール、l-メントール
エタノールですね。確かに、ニキビ薬に含まれるエタノールが入っていますから、殺菌・消毒の効果を期待することができます。しかしそれは言ったように『たしかにマキロンを塗れば多少の殺菌効果を得られるかもしれないけど、その代償に善玉常在菌も殺してしまって警備を手薄にしてしまうことは、あまり良い傾向ではない』ということになるわけですね。
更に、そのエタノールには『接触性皮膚炎』のリスクもあるとあります。つまり、肌体質が弱い人はマキロンに含まれるこのエタノールで肌荒れを起こしてしまう可能性もあるということになるわけですね。
先生
ハニワくん
乾燥するとバリア機能が低下する
更にこのエタノールというのは揮発性の高い成分です。
すぐに蒸発する性質。
ですから、アルコール消毒液などを手に刷り込んだ後は、すぐに蒸発して乾き、手を拭く必要がありませんよね。エタノール等のアルコール類は揮発性が高いがゆえに、すぐに蒸発して乾くのですが、それはつまりそこにある水分(液体)を『気体』に変えてしまうということで、水分がなくなってしまいます。つまり、『乾燥』ですね。
肌が乾燥すると、バリア機能が低下する形になるので、その場所が外敵から身を守れず、炎症を起こしやすくなります。ではここで、ニキビができる原因を見てみましょう。
ニキビができる原因(内因性)
ニキビができる原因(外因性)
その他
ニキビは乾燥によってもできるのです。つまり、マキロンを使ってニキビを治療するということは、
-
- 善玉常在菌も殺してしまって逆に治癒力を低下させる
- 揮発性があるがゆえに乾燥してしまい、ニキビを悪化させる
- 接触性皮膚炎になる可能性がある
等の理由であまり推奨されません。
先生
ハニワくん
マキロンの殺菌・消毒効果
プラシーボ効果の力
20年前、知人が『マキロンだと思ってCDクリーナーを塗布したら傷が治った』と言っていましたが、ここにあるのはプラシーボ効果です。
思い込みによる効果。
プラシーボ効果については下記の記事にたくさん書きましたが、一部を抜粋しましょう。栄誉ある賞を多々受賞し、卓球選手としてオリンピックにも2度出場し、オックスフォード大学を首席で卒業したマシュー・サイドの著書、『非才』にはこうります。
プラシーボ効果
第二次世界大戦中、連合軍は1944年のはじめにイタリア北部のアンツィオに急襲をけしかけた。この作戦は破滅的な結果になり、アメリカ軍はポッツォーリの洞窟に一週間以上こもるはめになった。ハーバード出身の若手医師ヘンリー・ビーチャーは、上陸拠点に設けた仮説の野戦病院で、つぎつぎとやってくる負傷兵たちの治療の指揮に当たった。
だが負傷者の数はあまりにも多く、ビーチャーのものにあった麻酔薬はすぐに尽きてしまった。傷口の開いた兵士を前に、処置を急ぐ必要があったビーチャーは、看護婦に銘じてモルヒネの代わりに食塩水を注射させた。投与された麻酔薬がちゃんと効いたと思い込んだ患者は、横たわって手術を待っていた。それから起こったことは、のちに医学界を揺るがすことになる。
兵士は食塩水の注射で楽になっただけでなく、『本物』の麻酔薬を投与されたかのように、手術の苦痛にも耐えられたのだ。それから数週間、ビーチャーは数十人の負傷兵で結果を再現することになった。どの兵士も、血管を流れるのはただの食塩水だったが、奇跡のような克己心と見受けられるものをもって手術のショックを耐え抜いた。帰還したビーチャーは『強力なプラシーボ』と題した論文を書いた。
この兵士も、私の知人と同じように、単なる食塩水で激痛のはずの手術を麻酔なしで耐えることが出来ました。人間のプラシーボ効果というのはとてつもない力を持っているのです。
『傷を消毒で治すのは時代遅れ』なのであれば、マキロンは一体何に使えばいいのでしょうか。マキロンは人間の身体の消毒に使うのであり、道具や物に使う場合は、『無水エタノール』等の商品があるわけです。
人間にはプラシーボ効果の絶大な力があります。もし、『マキロン神話』を心底から信じている人がいる場合は、無理にその使用をやめる必要がないのかもしれません。ただ、原理としては間違いなく、『傷を消毒で治すのは時代遅れ』であるということを覚えておきましょう。
先生
ハニワくん
- マキロンは『ニキビに特化した薬』ではない。
- アクネ菌を殺すと同時に皮膚の善玉常在菌も殺してしまう。
- 傷の消毒は『時代遅れ』。
- 市販薬を使ってニキビの症状が悪化することがある。
- エタノールには『接触性皮膚炎』のリスクもある。
- アルコール類は揮発性が高いがゆえに、すぐに蒸発して乾き、乾燥肌の原因となる。
- 乾燥するとバリア機能が低下する。人間のプラシーボ効果というのはとてつもない力を持っている。
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