Categories: 『宗教』を学ぶ

なぜヒトラー(ナチス)はユダヤ人を虐殺したのか?

ハニワくん

先生、質問があるんですけど。
では皆さんにもわかりやすいように、Q&A形式でやりとりしましょう。

先生

なぜヒトラー(ナチス)はユダヤ人を虐殺したの?わかりやすく簡潔に教えて!

政治権力を獲得していくためです。

ハニワくん

なるへそ!
も、もっと詳しく教えてくだされ!

博士

当時はヒトラー個人やナチスに限らず、ヨーロッパ全体に反ユダヤ主義が根付いていました。

  1. イエス殺害
  2. 越権的な律法主義
  3. 唯一神への絶対的な信念

 

これらがその主な理由でした。ナチスはそれを利用して、政治権力を獲得していったわけですね。そうすることで自分の支持者を増やし、そして権力を増大させ、あるいはその権力を世界に誇示することができます。世界はヒトラーのやった恐ろしい所業を聞いて怯え、ある戦局では優位性を得られるという効果がったわけです。

うーむ!やはりそうじゃったか!

博士

ハニワくん

僕は最初の説明でわかったけどね!
更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

先生

ヒトラーとユダヤ人

なぜユダヤ人はいつでもどこかと問題を起こしているのか?

 

上記の記事の続きだ。ユダヤ人にある『唯一神への絶対的な信念』というのは、推進力にはなっても調整力にはならない。そのような事実が記事に書いたような事例を生み出すのである。

 

ユダヤ人迫害と対立の原因

バビロン侵略 単なる隣国バビロニア、アッシリアの侵略
ローマ征服 ローマ帝国国教キリスト教の否定、イエス殺害の報復
ナチスの大虐殺 ナチスのユダヤ人への敵視(様々な理由がある)
アラブ連盟との戦い イスラエルを巡っての故郷争い

 

ただし、『ナチスの大虐殺(ホロコースト)』だけは例外だ。こればかりは彼らがいくら憎たらしい存在であっても、やってはいけないことだった。600万人のユダヤ人がヒトラーを筆頭とするナチスによって見るも無残に虐殺されたのだ。一体この理由は何だったのだろうか。上の表には『ナチスのユダヤ人への敵視(様々な理由がある)』とだけ書いたが、それについて更に紐解いてみよう。

 

 

ヨーロッパにあった反ユダヤ主義

実は、ヒトラー個人やナチスに限らず、ヨーロッパ全体に反ユダヤ主義が根付いていた。その理由はやはり、冒頭の記事に書いたような『イエス殺害』と『越権的な律法主義』、そして『唯一神への絶対的な信念』という『推進力』だと言えるだろう。

 

反ユダヤ主義の原因

  1. イエス殺害
  2. 越権的な律法主義
  3. 唯一神への絶対的な信念

 

ナチスはそれを利用して、政治権力を獲得していったのだ。

 

 

ヒトラーはクリスチャン?

では、ヒトラーはユダヤ人に対してどのような考えを持っていただろうか。9.11を経て、宗教についての疑問を爆発させた、『利己的な遺伝子』で有名なリチャード・ドーキンスの著書『神は妄想である』にはこうある。

問題は、ヒトラーとスターリンが無神論者であったかということではなく、無神論が一貫して人々を邪悪な行いに『向かわせる』かどうかである。しかし、そうだというどんなわずかな証拠さえ存在しない。事実として、スターリンが無神論者であったことに疑問の余地はないように思われる。彼はロシア正教の神学校で教育を受け、母親は意向に背いて彼が聖職者にならなかったことへの失望を棄てることができなかったー英国の歴史家、アラン・ブロックによれば、この事実はスターリンを非常に面白がらせたという。

 

ひょっとしたら、聖職者になるための訓練を受けたがゆえに、スターリンは成人してからロシア正教会、キリスト教ならびに宗教一般を激しく批判したのかもしれない。しかし、残虐さを発揮したのはスターリンが無神論者だったがゆえだという証拠はまったく存在しない。(中略)ヒトラーが無神論者だったという伝説は、きわめて念入りに醸成されてきたものであり、それだけ非常に多くの人が疑問に思うことなく信じており、宗教信奉者たちがいつもきまって、挑戦的にもちだされる。しかしこの問題の真相は、明快というにはほど遠い。ヒトラーはカトリック教徒の家に生まれ、子供のころはカトリックの学校と教会に通っていた。問題は、ヒトラーとスターリンが無神論者であったかということではなく、無神論が一貫して人々を邪悪な行いに『向かわせる』かどうかである。

 

しかし、そうだというどんなわずかな証拠さえ存在しない。事実として、スターリンが無神論者であったことに疑問の余地はないように思われる。彼はロシア正教の神学校で教育を受け、母親は意向に背いて彼が聖職者にならなかったことへの失望を棄てることができなかったー英国の歴史家、アラン・ブロックによれば、この事実はスターリンを非常に面白がらせたという。ひょっとしたら、聖職者になるための訓練を受けたがゆえに、スターリンは成人してからロシア正教会、キリスト教ならびに宗教一般を激しく批判したのかもしれない。しかし、残虐さを発揮したのはスターリンが無神論者だったがゆえだという証拠はまったく存在しない。

 

(中略)ヒトラーが無神論者だったという伝説は、きわめて念入りに醸成されてきたものであり、それだけ非常に多くの人が疑問に思うことなく信じており、宗教信奉者たちがいつもきまって、挑戦的にもちだされる。しかしこの問題の真相は、明快というにはほど遠い。ヒトラーはカトリック教徒の家に生まれ、子供のころはカトリックの学校と教会に通っていた。

 

 

(中略)キリスト教徒のユダヤ人憎悪は、カトリックだけの伝統だけではない。マルティン・ルターは激烈な半セム族主義者だった。彼はヴォルムス帝国議会において、『すべてのユダヤ人はドイツから放逐されるべきだ』と言った。更には、丸々本を一冊費やして、『ユダヤ人と彼らの嘘』という著作を書くことまでしたが、これはおそらくヒトラーに影響を与えただろう。ルターやユダヤ人を『マムシ(毒蛇)の子』と表現しているが、この同じ表現が、ヒトラーの注目すべき演説においても使われている。1922年におこなわれた、ヒトラーが自分がキリスト教徒であると何度も繰り返している演説だ。

 

キリスト教徒としての感情が私に、主と戦士たる救い主へと目を向けさせる。かつては孤立し、わずかな数の弟子に囲まれ、これらユダヤ人が何のためにこの世に存在するのかを悟り、彼らと戦うよう人々に命じた、その人へと。そしてその人こそーああ、絶対なる神の真理よ!-受難者としてではなく、戦士としてもっとも偉大なのだ。

 

一人のキリスト教徒として、一人の人間としての限りない愛を抱きつつ私は、主がついに力強く立ち上がり、手にした鞭でマムシの子を神殿から追放した顛末を述べるくだりを読む。ユダヤ人の毒から世界を守るための神の戦いは、なんと怖ろしいものだったか。2000年の年を経た今日、私は深甚なる感情をもって、神がその血を十字架の上で流さねばならなかったのはこのためであったと、かつてないほど強く確信するのだ。

 

一人のキリスト教徒として、私は自分が騙かれることなく、真実と正義のために戦う義務を負っている。…われわれが正しい行いをしていると証拠立てるものがあるとすれば、それは日々増えつつある貧窮である。一人のキリスト教徒として、私は自国民に対する義務も負っているのだ。

 

 

(中略)ヒトラーがその残虐行為を単独で実行したわけではないことを、ここで私たちは思い出さねばなるまい。恐るべき行為そのものは、兵士やその上官によってなされたが、彼らの大部分はまちがいなくキリスト教徒だった。(中略)となれば真実は、ヒトラーのキリスト教信仰の告白が誠実なものであったか、それとも、ドイツのキリスト教徒とカトリック教会からの協力をーまんまとーとりつけるためにキリスト教徒だと偽ったかのいずれかである。いずれにせよ、ヒトラー体制が引き起こした邪悪な行いの数々が無神論に源をもつなどとは、これで言えなくなった。

 

(中略)結局、スターリンは無神論者で、ヒトラーはおそらくそうではなかった。しかし、たとえそうだったとしても、スターリンとヒトラーをめぐるこの議論の、肝心の要点は非常に単純である。すなわち、個々の無神論者は悪事をなすかもしれないが、彼らは無神論の名において悪事をなすわけではない、ということだ。スターリンとヒトラーは極端な悪行をそれぞれ、独善的かつマルクス主義とワーグナー風の狂乱の色合いをもつ、正気の沙汰ではない、非科学的な優生理論の名のもとにおこなったのである。

 

ここで出てきたのは、『スターリンは無神論者で、ヒトラーはおそらくそうではなかった』という事実だ。『一人のキリスト教徒として』という言葉を連呼したヒトラーは、キリスト教徒だったがゆえに、イエスを殺害したユダヤ人を憎んでいた可能性も否定できないだろう。

 

夜と霧

いずれにせよ、だとしてもユダヤ人全員を恨むのは間違っているし、600万人の人間を虐殺するなど人ではない。更には、その虐殺の方法がひどすぎる。あまりにもひどすぎて、その内容は絶対に映画化されないだろう。よく『映画化不可能』と言われる話が映画化されるが、これだけはされない。してはならないのだ。

 

しかし、この虐殺を知るためのうってつけの本がある。ナチスの強制収容所に収監され、人間の想像を絶する3年間を過ごしたドイツの心理学者、ヴィクトール・E・フランクルの著書、『夜と霧』である。

 

 

いくら彼らに『調整力』がなかったとは言え、あってはならないことが起きた。そして何度も言うように、ユダヤ人全員に調整力がないなどと考えるのは、あまりにも浅薄な曲解である。次に『アラブ連盟との戦い』の話をまとめてユダヤ教の記事を最後としよう。

 

 

 

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参考文献

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