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親や身内の借金の支払い義務はあるか?保証人や相続のケースとは(リンク

親や身内の借金の支払い義務はあるの?

いいえ。

結論からいうと、たとえ家族や身内の借金であっても、あなたは支払う必要はありません。しかし、保証人になっているか、相続をするのか、などという点がポイントになってきます。

先生

家族や身内が借金をした場合、それを支払う義務ってあるのかな?民法には、家族の面戸を見るのが義務である、っていうことが書いてあるけど、だとしたら借金の返済もする必要がある?詳しく解説するよ!
更に詳しく知りたい人は、以下の記事を見るっす!

ハニワくん

家族の借金について

家族の借金の請求が、ある日突然自分のところに来たらどうしますか?借金の額にもよりますが、中には慌てる人もいるかもしれません。請求額が低い場合は自分でも支払えますが、何百万円、何千万円の請求になるとやはり考えてしまいます。親や身内に借金がある場合、家族の一員である自分も借金を支払う義務があるのでしょうか?結論からいうと、たとえ家族や身内の借金であっても、あなたは支払う必要はありません。借金を肩代わりする必要はありませんので、そのままにしておけば良いのです。このように通常は支払う義務はありませんので、そのままにしておいても大丈夫です。

 

しかしその中には例外もあります。例えば家族の死後、そのまま何もしないで放置していると、あなたが借金を支払うことになる場合もあります。家族に借金がある場合、例外的に自分が支払うことになることもありますので注意してください。例外規定としては、次のものがあります。

 

  1. あなたが家族の借金の保証人や連帯保証人になっている場合
  2. 未成年である借主の法定代理人になっている場合
  3. 借金のある家族が亡くなり、自分が相続した場合

 

です。

 

これらのケースに該当する場合、たとえ自分の借金でなくても支払いの義務が生じますので注意してください。これら3つの例外に該当しなければ、家族に多額の借金がある場合でも、あなたが借金を肩代わりする必要はありません。また債権者から債務者の住所や連絡先を聞かれても、それに応じる必要もありません。

 

この章のまとめ

  1. 原則として、家族や身内の借金を支払う必要はない。
  2. 家族の借金の保証人や連帯保証人になっている場合は、借金を支払うことになる場合もある。
  3. 未成年である借主の法定代理人になっている場合は、借金を支払うことになる場合もある。
  4. 借金のある家族が亡くなり、自分が相続した場合は、借金を支払うことになる場合もある。

 

借金の保証人や連帯保証人になっているケース

家族の借金についての例外の一つが、「借金の保証人や連帯保証人になっているケース」です。あなたが他人の借金の保証人や連帯保証人になっている場合、当然支払い義務が生じます。

 

これは借金した人が誰かに関係なく発生しますので、注意する必要があります。あなたが家族の借金の保証人、また連帯保証人になることに了承して契約書を締結すると効力が生じます。家族の借金の保証人、また連帯保証人になると、家族が支払い不能に陥った時に保証人であるあなたに借金の督促がきます。あなたは保証人ですので、家族の借金支払い義務が発生します。

 

しかしここで優先されるのは、あくまでも借主本人の借金の支払いになります。金融機関がたとえ保証人であるあなたに家族の借金の請求をしてきても、すぐに応じる必要はありません。金融機関に対しては、最初に借主に直接請求してください。という旨の主張ができます。この法律行為は民法で規定されており、これが「催告の抗弁権」です。

 

そしてお金を借りた借主に十分な資産があることを保証人が認知した場合は、金融機関に対して、まずは借主の財産の差押え請求ができます。この行為が「検索の抗弁権」です。債務者に十分な資産がある場合、まずその資産を処分する旨を請求することで、保証人の支払い義務を回避できます。

 

ここで問題なのが連帯保証人です。保証人には催告の抗弁権、検索の抗弁権は認められていますが、連帯保証人にはこれらの権利は認められていません。この場合、債権者は借主と連帯保証人、どちらにも借金の支払いを請求できます。そのため連帯保証人であるあなたに支払い請求があれば、保証人のように拒むことはできないのです。保証人と比べて連帯保証人は、より重い責任を負うことになります。保証人や連帯保証人は、本人が知らないうちに勝手にされてしまう可能性はありますので注意してください。

 

保証人や連帯保証人の契約を行う時は、本人の署名や押印が求められます。また場合によっては、実印や印鑑証明書が必要な時もありますが、逆に言えば実印や印鑑証明書さえ用意できれば、本人でなくてもすぐに契約できてしまうのです。そのため家族があなたに内緒で、保証人や連帯保証人にしてしまうこともあります。自分が知らない間に保証人や連帯保証人にされてしまった時は、債権者に対してその旨をはっきり伝える必要があります。

 

少しでも借金の一部でも支払いをしてしまうと、保証人や連帯保証人であることを認めてしまうことになります。勝手に保証人や連帯保証人にされた場合、本人が契約したものではないことを証明するのは困難です。一人で対応できない時は、弁護士や司法書士などの法律の専門への相談をおすすめします。弁護士や司法書士であれば、あなたに合った解決法を提示してくれます。

 

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この章のまとめ

  1. 保証人が使える「催告の抗弁権」とは、『最初に借主に直接請求してください』と主張できる権利。
  2. 保証人が使える「検索の抗弁権」とは、債務者に十分な資産がある場合、まずその資産を処分する旨を請求することができる権利。
  3. 「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」は、連帯保証人は使えない。
  4. 連帯保証人に支払い請求があれば、保証人のように拒むことはできない。
  5. 自分が知らない間に保証人や連帯保証人にされてしまった時は、債権者に対してその旨をはっきり伝える必要がある。
  6. 一人で対応できない時は、弁護士や司法書士などの法律の専門へ相談する。

 

未成年の法定代理人である場合

未成年者が金融機関などからお金を借りる時は、法定代理人の同意が求められます。そのため、金融機関から承諾書の提出を求められることもあります。このようにあなたが未成年者の法定代理人となっており、未成年者の借金に同意した時はあなたに借金の支払い義務が発生します。それゆえ、もし未成年者が支払い不能に陥った際、あなたが未成年者に代わって借金を支払うことになります。

 

しかしこの場合でも、未成年者が法定代理人の同意を得ることなく金融機関から借金を行った時は、法定代理人には支払い義務はありません。このようなケースはよくあります。法定代理人の同意を得ることなく債権者が未成年者にお金を貸すと、債務者側の過失になります。債権者が未成年者にお金を貸す時は、法定代理人の許可を得る必要があります。そのため法定代理人の許可を得ることなく行った金銭消費貸借契約、そのものを取消すことができます。

 

しかしこの場合、もし借りたお金が少しでも残っていた時は、残金は貸主に返還する必要があります。また金融機関から借金をする時、未成年者が未成年であることを偽って契約した場合、法定代理人に支払い義務が発生します。このようなケースは悪質とみなされ、同意の有無に関係なく法定代理人に支払い義務が発生しますので気をつけてください。

 

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この章のまとめ

  1. 未成年者が法定代理人の同意を得ることなく金融機関から借金を行った時は、法定代理人には支払い義務はない。
  2. 法定代理人の同意を得ることなく債権者が未成年者にお金を貸すと、債務者側の過失になる。
  3. この場合、もし借りたお金が少しでも残っていた時は、残金は貸主に返還する必要がある。
  4. 金融機関から借金をする時、未成年者が未成年であることを偽って契約した場合、法定代理人に支払い義務が発生する。

 

借金をした家族が亡くなった後、本人が相続した場合

借金をした親が亡くなると、親の財産は相続人が全て相続することになります。この時に相続するものは、現金や不動産といったプラス財産だけではなく、借金といったマイナス財産も含まれます。そのため家族が借金をしていれば、その借金の支払い義務が本人に生じます。この時遺言書がある場合は、その遺言書に記載された財産を相続することになります。

 

相続については、

 

  1. 相続放棄
  2. 限定承認
  3. 単純承認

 

の3つの方法があります。この中の相続放棄は、全ての財産相続を放棄することです。そのため家族の借金がプラス財産と比べて多い場合、相続の放棄を行った方が結果的にお得になります。相続放棄については、自分自身が相続人であることが判明した日から起算して3ヶ月以内に行う必要があります。そして相続放棄についての手続きは、相続人各自で行う必要があります。必要な種類もありますので、不明な点は弁護士や司法書士に相談すると良いでしょう。

 

家族に借金がある場合、本来は他の家族が支払う必要はありません。しかし上記で挙げたように、例外規定に該当すると支払い義務が発生しますので注意してください。不明な点は弁護士や司法書士など、法律の専門家に相談してみてください。

 

この章のまとめ

  1. 相続については、『相続放棄』、『限定承認』、『単純承認』の3つの方法がある。
  2. 家族の借金がプラス財産と比べて多い場合、相続の放棄を行った方が結果的にお得になる。
  3. 相続放棄については、自分自身が相続人であることが判明した日から起算して3ヶ月以内に行う必要がある。

参考文献

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