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口頭の提供が成立したのにも関わらず、債権者がお金を受け取らない場合は?

お金を返す用意が出来たのにも関わらず、債権者がお金を受け取らない場合はどうしたらいいの?

債務者は弁済の提供のときから、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れることが出来ます。

(つまり、その後に遅延損害金等を請求してくるような理不尽があっても、それを免れることが出来ます)

先生

お金を借りていた人がお金を返せる用意が出来て、『返す』と言ったのに、貸した人がそれを受け取らないという状況があったとき、一体どうすればいいんだろうか?なんか変だよね!ここではそんな疑問に答えるために、詳しく解説するよ!

更に詳しく知りたい人は、以下の記事を見るっす!

ハニワくん

債権者遅滞とその効果について

 

口頭での提供が成立したのに債権者がお金を受け取らない場合、債務者はどうすれば良いのでしょうか。契約当事者の一方が債権債務を履行しない場合、その後の行為にも大きく影響してきます。債権者がお金を受け取らない場合、民法上は受領遅滞の問題が生じます。

 

受領遅滞

受領遅滞は民法に規定があります。債務の弁済を行う時に、受領など債権者の協力が必要な場合があるのです。この場合、債務者がその債務の本旨に沿った弁済提供をしたにもかかわらず債権者が受け取らない、または協力しないことで履行遅滞に陥った状態をいいます。これは債権者遅滞と呼ばれることもあり、いずれにしても債権者がお金を受け取らないので、それ以降の法律行為ができなくなります。

 

受領遅滞には、様々な効果があります。法的な性格を重視した場合、弁済提供の効果と同じになります。この場合は債権者遅滞の状態が発生するので、債務者は債務不履行の責任を負いません。この規定は民法492条に記されています。またその行為が弁済期前に行われた場合は、それ以後発生する約定利息の支払い義務もなくなります。債務者が支払いの提供をしたにもかかわらず、その後の利息までも負担させると、債務不履行責任免除の効果がなくなるからです。

 

この章のまとめ

  1. 債権者がお金を受け取らない場合、民法上は受領遅滞の問題が生じる。
  2. 債権者遅滞の状態が発生するので、債務者は債務不履行の責任を負わない。
  3. その行為が弁済期前に行われた場合は、それ以後発生する約定利息の支払い義務もなくなる。

 

弁済の提供

 

債務者が支払いの提示をしたにもかかわらず、債権者が受け取らなかった場合の効果は弁済の提供からも解釈できます。弁済提供の効果としては、上記と同じ民法492条が適用されます。これによると債務者は弁済の提供をした時から、債務の不履行によって発生する一切の責任を免れることになります。

 

また民法533条では同時履行の抗弁権の規定があり、この場合は相手方の同時履行の抗弁権を奪うこともできます。さらに契約の時に規定した、約定利息も発生しません。債権者の受領遅滞が認められると、債務者の弁済の提供がされたのと同じ効果が生じます。そのため、債務者はそれ以後履行遅滞の責任を負う必要はなくなります。このように口頭の提供が成立したのにも関わらず、債権者が債務者が提示したお金を受け取らない時は債権者遅滞の効果が発生します。これにより債務者は、それ以後発生する法的負担を免れることになります。

 

この場合、債権者に支払いの提示をする必要がありますので注意してください。債権者が債務者の提示したお金を受け取らない場合、それ以後の法律行為ができなくなります。しかし、債務者は債権者遅滞以後の負担を負うことはありませんので、特に心配する必要はありません。弁済の提供、あるいは口頭の提供が成立したのにも関わらず、債権者がお金を受け取らない(現実の提供を不成立させた)場合、債務者は弁済の提供のときから、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れます。

 

(つまり、その後に遅延損害金等を請求してくるような理不尽があっても、それを免れることが出来る)

 

この章のまとめ

  1. 債務者は弁済の提供をした時から、債務の不履行によって発生する一切の責任を免れる。

参考文献

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