Categories: 世界史

東南アジアで命を燃やした歴史に残る偉人たちと、唯一独立を守り続けた奇跡の国~ASEAN誕生~

ハニワくん

先生、質問があるんですけど。
では皆さんにもわかりやすいように、Q&A形式でやりとりしましょう。

先生

いくつか質問があるんだけど、わかりやすく簡潔に教えて!

  1. 東南アジアで植民地化されなかった国はないの?
  2. 『ASEAN』って何?

1.タイです。

2.東南アジア諸国連合のことです。戦後に東南アジアがまとまったということですね。

ハニワくん

なるへそ!
も、もっと詳しく教えてくだされ!

博士

降伏も占領もされずに第二次世界大戦を乗り切った奇跡の国『タイ』。

西側のビルマがイギリス領、東側のカンボジア・ベトナムなどがフランス領になったなかで、その間に位置するタイは、両国の緩衝地帯となり、助かったわけですね。そうやって環境的に有利性を得た国の話は、世界各地にあります。

 

ASEANですが、ベトナム戦争が起きたことで、東南アジアの5か国は結束を強め、1967年、各国は『バンコク宣言』を行い、これが『ASEAN(東南アジア諸国連合)』の始まりとなりました。この5か国が率先してまず結束を固め、社会・経済面での相互協力を行い、反共産主義を掲げます。そしてベトナム戦争終結後の1970年代後半には、規模を拡大。現在は東南アジア諸国10か国がASEANに加盟していて、EU連合やNAFTA(北米自由貿易協定)よりも多い人口となっています(約6億人)。

うーむ!やはりそうじゃったか!

博士

ハニワくん

僕は最初の説明でわかったけどね!
更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

先生

戦中戦後の東南アジア

戦後アジアの歴史(東南アジア・朝鮮半島・日本)

中華人民共和国の創立者『毛沢東』はなぜ5,000万人以上の国民を死なせたのか?

 

上記の記事の続きだ。毛沢東が1966年~1977年まで続けた『プロレタリア文化革命』に入る前に、見ておくべきアジア諸国の歴史を見ていこう。東南アジアというのは、

 

  • タイ
  • ビルマ(ミャンマー)
  • ラオス
  • ベトナム
  • カンボジア
  • フィリピン
  • マレーシア
  • ブルネイ
  • シンガポール
  • インドネシア
  • 東ティモール

 

等の国々となるが、これらの国の歴史が世界史にそう大きく取り上げられない理由は、やはりこれらの国々が他の列強と比べて、『動かした歴史が小さい』からである。大小で物事を決めることはないが、しかし、たとえば『フィリピンがロシアに核攻撃をした』とか、そういう事実はないわけだ。むしろこれらの国の人々は、その列強諸国の『植民地支配』を受けた側だった。

 

列強諸国(アメリカ、イギリス、フランス等) 支配しようとした
東南アジア諸国 支配された(植民地化された)

 

だが、タイはその独特の地政学を利用した外交で、アジアで唯一独立を保ち続けた。降伏も占領もされずに第二次世界大戦を乗り切った奇跡の国だと言われている。西側のビルマがイギリス領、東側のカンボジア・ベトナムなどがフランス領になったなかで、その間に位置するタイは、両国の緩衝地帯となったのだ。

 

STEP.1
7~9世紀
モン人が都市国家を形成。
STEP.2
11~13世紀
クメール王朝の支配下に。
STEP.3
13世紀初め
タイ人がインドシナ半島に南下する。
STEP.4
1280年頃
ラーマ=カムヘン治世時、最盛期を迎える。
STEP.5
1351年
アユタヤ朝が成立。
STEP.6
1583年
スコータイ朝、アユタヤ朝に吸収。
STEP.7
16世紀頃年
日本人が傭兵としてタイへ移住し、日本人長ができる。のちに焼き討ちに遭い衰退。
STEP.8
1767年
ビルマのコンバウン朝の侵入でアユタヤ朝が滅亡。
STEP.9
1782年
ビルマ勢力を追い出し、ラタナコーシン朝が成立。
STEP.10
1855年
イギリスとの不平等条約に合意。ラーマ5世が西欧的な金高政策を実施。独立の維持に成功。

 

タイ人が18世紀に建国したラタナコーシン朝が、現在も続くタイの王朝なのである。前述した奇跡の地政学に並び、ラーマ5世が行った行政と軍事の西洋や、奴隷制の廃止等、国王たちもしっかりと活躍した。

 

プミポン国王(ラーマ9世)

1946~2016年。18歳で即位。最初は象徴的損z内だったが、国内の利害関係の調停役として手腕を振るい、タイを安定させ、国民から厚く慕われていた。

 

 

独立する国々と偉大な指導者たち

第二次世界大戦のあと、東南アジア諸国は次々と独立を宣言する。

 

アジアの独立国

独立年 国名 独立前の宗主国
1945年 ベトナム民主共和国 フランス
1946年 フィリピン共和国 アメリカ
1949年 インドネシア連邦共和国 オランダ
1953年 カンボジア王国 フランス

 

 

等の活躍によって、それぞれが支配した国から独立することになる。ちなみに、このスカルノの第三夫人は、タレントの『デヴィ夫人』だ。

 

[アウン・サン・スー・チー]

 

アウン・サン・スー・チーの覚悟はすごい。政府に立ち向かって、何度も何度も軟禁生活を送る羽目になるが、それでも決して屈しない。1991年7月10日にサハロフ賞受賞、同年10月14日にはノーベル平和賞を受賞し、ノーベル賞賞金の130万ドルはビルマ国民の健康と教育のための基金の設立に使われた。ただし自宅軟禁中のため授賞式には出席できず、受賞演説を行ったのは軍政が民主化に本腰を入れ始めてから21年後の2012年6月16日だった。

 

[ホー・チ・ミン]

 

ホー・チ・ミンもすごい。フランスの植民地に生まれた彼は、船員やコックとして世界を渡り、30年ぶりに帰国して、ベトナム独立同盟会(ベトミン)を結成。反仏反日闘争を指導し、太平洋戦争終結と同時に『ベトナム民主共和国』独立を宣言。

 

当時行われていた『ベトナム戦争』は、アメリカとソ連の『冷戦』の間接的な戦場だった。アメリカは『自由主義』、ソ連は『社会主義国』を拡大させたくてお互いが対立していたが、直接的に戦いあうわけじゃなかったので、それは『冷戦』と呼ばれていた。その後、米ソは1960年代平和共存外交を展開するが、他の地域で代理戦争を起こす。その影響を強く受けたのが、東南アジアだったのだ。

 

そうして起きたのが『朝鮮戦争』や『ベトナム戦争』だった。朝鮮戦争については次の記事で書こう。

 

ホー・チ・ミンは言った。

 

彼の言葉からにじみ出ているのも、覚悟だ。こうしてベトナムは、ホー・チミンの活躍もあってフランスによる植民地支配から解放されるのだが、しかしそのあとアメリカが『ベトナムの共産化を阻止する』という口実で、南ベトナムに軍事支援を行い、ソ連や中国の支援を受けた北ベトナムと戦った。奇しくも、朝鮮半島を支援するのも『南=アメリカ』で、『北=ソ連、中国』だったが、ベトナムでも同じような流れになったわけだ。

 

 

モハメド・アリとベトナム戦争

1965年。第二次世界大戦の終結から20年も経ったとき、アメリカは北ベトナムに空爆を行い、54万人もの兵力を投入する。そのベトナム戦争で戦った男と言えば、モハメド・アリだ。

 

 

アリはベトナム戦争への徴兵を言い渡されたとき、こう言ったことで、波乱万丈な人生を生きることになった。当時は、ベトナム戦争に対するそういう態度は許されない風潮があった。アリは、『非国民』というレッテルを貼られ、裁判にかけられ、無敗のまま異例の、チャンピオン剥奪。ライセンスまで奪われ、3年以上もの間、国家との戦いを強いられた。だがアリは復帰後、見事タイトルを奪い返し、3度タイトルを獲得、19度の防衛を果たしたのだ。

 

ベトコン

1960年12月 20日に南ベトナムのキエンホア省モッカイ郡で結成した統一戦線。それまで各地で行われていた民衆の広範な政治闘争と散発的な武力闘争を合体したもの。アメリカなどはこれを南ベトナムの共産勢力の組織であるという意味でベトコンと呼んだ。

 

彼は戦った。だが、その戦場はベトナムではない。リングの上だった。そのほかにも、アインシュタインピカソ等、数えきれない文化人が戦争の外側で戦争を強く非難し、それぞれの舞台で戦っていたのである。

 

 

『ASEAN(東南アジア諸国連合)』結成

列強諸国が植民地から手を引いた年(東南アジア諸国が独立した年)

ビルマ(ミャンマー) 1948年
ラオス 1953年
ベトナム 1945年
カンボジア 1953年
フィリピン 1946年
マレーシア 1963年
ブルネイ 1984年
シンガポール 1965年
インドネシア 1949年
東ティモール 2002年

 

ベトナム戦争が起きたことで、東南アジアの5か国は結束を強め、1967年、各国は『バンコク宣言』を行い、これが『ASEAN(東南アジア諸国連合)』の始まりとなった。

 

結成時の加盟国

  1. タイ
  2. インドネシア
  3. フィリピン
  4. マレーシア
  5. シンガポール

 

この5か国が率先してまず結束を固め、社会・経済面での相互協力を行い、反共産主義を掲げた。そしてベトナム戦争終結後の1970年代後半には、規模を拡大。現在は東南アジア諸国10か国がASEANに加盟していて、EU連合やNAFTA(北米自由貿易協定)よりも多い人口となっている(約6億人)。

 

現在の加盟国

  1. タイ
  2. インドネシア
  3. フィリピン
  4. マレーシア
  5. シンガポール
  6. ブルネイ
  7. ベトナム
  8. ミャンマー
  9. ラオス
  10. カンボジア

 

[アジアの国と地域組織の相互関係]


参考
東南アジア諸国連合wikipedia

 

『動かした歴史が小さい』、その列強諸国の『植民地支配』を受けた側だった東南アジア諸国だったが、今ではASEANとして結束し、強い連合体となったのである。そもそも動かした歴史が小さいと言っても、戦争をしかけた側が主役で、彼らが脇役になるわけもないのだ。彼らはむしろ、列強諸国のように他国を植民地化したりしなかった。お手本にしなければならない生き方が、彼らの中にあるのだ。

 

中田敦彦のyoutube大学

オリエンタルラジオの中田敦彦さんがASEANをまとめた人気動画があります。

次の記事

該当する年表

SNS

参考文献

IQ

I drew illustration. Thank you!

Recent Posts

『項羽と劉邦』レビュー(感想)と考察

『項羽と劉邦』 ポスター画像出…

7時間 ago

『DRAGON QUESTモンスター』最強決定戦!

ヴィラン Other batt…

1週間 ago

『Pokémon』最強決定戦!

投票 作品紹介 Pokémon…

1週間 ago

『DRAGON QUESTモンスター大図鑑』公式商品

商品一覧 リンク 作品紹介 キ…

1週間 ago

『Xenobalde』最強決定戦!

Xenoblade1 Xeno…

1週間 ago

『DRAGON QUEST』最強決定戦!

ヒーロー ヴィラン 作品紹介 …

1週間 ago