ヤバい経済学
■著者:スティーヴン・D・レヴィット スティーブン・J・ダブナー
あまり頭に入ってこないのは、私がもう『ギャングの事情』や『麻薬の事情』、『出会い系サイトの事情』等に、全く興味がないからだろう。10代の頃であれば興味があったかもしれないが、10代の頃にこの分厚い本を読もうとは思わなかっただろう。普通、その様なものが好きな人間が、分厚い本など読まない。
ただ、『ギュゲスの指輪』の話は、感想がある。ギュゲスという人間が指輪を付けたら透明人間になった。そして、やりたい放題やった。だから、人は自分の姿が他人から見られないとわかったとき、悪の誘惑に勝てるかどうか、という話だ。この話をするグラウコンという人間は、ソクラテスやアダム・スミスの意見に逆らうように、こうした話をしたという。
透明人間になるということは、『神』と同じ領域である。もうそんな能力を手に入れた時点で人間ではない。たった一人しかいない可能性があり、その希少性の価値は計り知れない。やり方次第で生きることには一生困らないし、もちろん悪の道に逸れることも出きる。しかし、『善の頂点である神として生きることもできる』わけだ。そういう選択肢が与えられている時、もちろんそれまで強いられてきた環境の差異が大きく影響するが、最終的には間違いなく、人間は善の道を生きることになるだろう。