『ヒト』を最適化しよう。

昼夜逆転・時差ボケ(概日リズム睡眠障害)の原因は体内時計?

なぜ時間は『24時間』なのか

普通、時計は24時間で設定されていますよね。昔の人が月の満ち欠けをみて、ひと月が大体30日周期で周ることを見ながらカレンダーを作ったことが由来だと言われています。メソポタミア人はそれが12回くると一年だとわかっていました。ですからこの『12』という数字を軸にして、一日を12個の区切りで考える発想がありました。しかしエジプト人はそれを『昼』と『夜』で分け、昼の12時間、夜の12時間という考え方をしました。そうして一日の時間は24時間であるという考え方が根付いたのです。

 

参考 どうして1日は24時間なの科学なぜなぜ110番|学研サイエンスキッズ

 

 

体内時計とはなにか

さて、人間にも『体内時計』という時計があります。

 

体内時計は『24時間』じゃない?

『図解雑学 睡眠のしくみ』にはこうあります。

DNAに組み込まれた体内時計

私たち人間に限らず、生物のほどんとは生まれ流れにして自分だの時計を体内に有している。これが先に説明した概日リズムが作り出している生物時計(体内時計)である。生物時計の存在する場所や、生物によって異なる。人も含めた哺乳動物の場合は間脳の視床下部にある視交叉上核という神経組織に生物時計が存在し、概日リズムを発信している。これがイカやタコといった軟体動物の仲間であるアブリジアになると目の中に生物時計があることが知られているし、ゴキブリは複眼と脳を結ぶ視葉という神経組織に生物時計が存在しているという。(中略)私たちは内在する24時間±5時間周期のリズムを持ちながら、24時間の太陽リズムとうまく同調しながら日々の生活を営んでいるのである。

 

『24時間±5時間周期』とでてきましたね。私たちの体内時計は太陽、月と同じリズムではなく、少しずれているのです。

 

 

概日リズム(サーカディアンリズム)
約24時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。人間の場合、『24時間と数分』のリズムが内在していて、実際のリズムと数分ずれている。

 

『不眠症の科学』にはこうあります。

時間がきたから眠る 概日リズム

『人の体内時計の1日は何時間なのか』という疑問を解くため、60年代にドイツのマックス・プランク研究所で実験が行われました。外からまったく光が入らない地下室で、実験参加者に自由に生活させたところ、平均すると約25時間の周期で体内時計が回っていることがわかりました。その後、スタンフォード大学のチャック・ツァイスラーが別の条件で行った実験では、もう少し短い24時間10分という結果が出ています。いずれにしても、私たち人の体内時計の1日は、地球の1日の周期24時間より少し長いようです。

 

さて、今のところ人の体内時計は、

 

  • 24時間±5時間周期
  • 約25時間
  • 24時間10分

 

という情報が出ています。では一体、どれが正解なのでしょうか。もう少し参考文献を見てみましょう。『ブルーライト 体内時計への脅威』にはこうあります。

体内時計はなぜ24時間周期なのか?

『人の体内時計は25時間周期である』という説を、今もさまざまな書籍や文献で見かける。専門家ですらまだ25時間説を支持する人もいるのだが、実はこれはかなり古い知見で、現在では24時間と数分くらいであるということがわかっている。そもそも25時間説は、1960年代に洞窟内に人を隔離する実験によって誕生したものだ。

 

(中略)ところがその後、人の体内時計は光や食事などに大きな影響を受けることがわかり、洞窟での実験は、人工照明の光によって体内時計にずれが生じていることがわかってきた。そこで、米国ハーバード大学の研究グループは被験者に15ルクス程度の微弱な光の中で生活してもらい、なおかつその微弱な光の影響を差し引くという非常に厳密な実験を実施。その結果、人の体内時計は25時間ではなく、約24時間と数分であるということがわかったというわけだ。この研究成果は1999年に米科学誌『Science』で発表されている。

 

1960年代に行われたその洞窟実験以降、

 

  • スタンフォード大学
  • ハーバード大学
  • Science

 

といった権威ある研究機関及び、世界的に見ても信憑性が高い科学誌が入念にこのことについて調べた結果、『24時間と数分』という数字が人類共通の遺伝的・生得的な体内時計の周期であるということが証明されたんですね。ただし、実際には概日リズムの乱れによって、体内時計が26時間だったり、22時間だったりする人もいるので、人それぞれでこの体内時計は違っているということになります。

 

また生まれたての赤ちゃんは一日中寝たり覚めたりを繰り返していますが、新生児はこの体内時計が未熟なため、外が明るい、暗い、ということとは関係なく1日が進行します。およそ生後4か月くらいからそのような外界リズムと起床・睡眠のパターンがあうようになってきます。

 

 

体内時計が狂うと睡眠に悩まされる

さて、いずれにせよこの体内時計は、太陽のリズムである24時間とずれてしまっていますよね。するとどうなるかというと、その赤ちゃんの例を考えてもわかるように、『起きるべき朝に起きられない』、『寝るべき夜に寝られない』といった『昼夜逆転』の問題が生じてしまいます。したがって、

 

『概日リズム(体内時計)が狂うと睡眠に悩まされる』

 

ということになるわけですね。ちなみに今『概日リズム=体内時計』と言いましたが、実は概日リズムだけが体内時計なのではありません。概日リズムは別名サーカディアンリズムと言いますが、ほかにも以下のような体内時計があります。

 

生物時計と人間のリズム

時間の感覚
ウルトラディアンリズム 約90分リズム
サーカセメディアンリズム 約12時間リズム
サーカディアンリズム 約24時間リズム
サーカセプタンリズム 1週間のリズム
サーカトリギンタンリズム 1か月のリズム
サーカアニュアルリズム 1年間のリズム

 

上の3つは眠気の信号を発信し、1日単位の生活を修飾するためにあるリズムです。下の3つは、1日のリズムと長期間にわたるリズムが組み合って、睡眠や体の諸機能に影響を与えるためにあるリズムです。これらはすべて体内時計です。『概日』というのは読んで字のごとく『概ね一日』ということですから、『一日の大体の時間のリズム』という意味です。ですからここにある『サーカセメディアンリズム』の場合、半日のリズムを表しますから、『概半日リズム』と言っても別に間違っていないことになりますね。

 

 

またこのサーカセメディアンリズムですが、午後の一時期、昼食後あたりに眠気を誘う特徴があります。あれは別に昼食を食べたから眠くなるのではなく、この体内時計が関係していたのです。『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』にはこうあります。

昼食を摂らなくても昼間は眠くなる

(省略)また、昼ご飯を食べなくても、あるいは1日に数回に分けて食事をしても、午後2時から4時ごろには眠気に襲われます。私たちの眠気を決めているのは、『睡眠物質』と『体内時計』です。特に昼間の眠気は、体内時計が主な原因になっています。人の体にあるほとんどすべての細胞には、体内時計が組み込まれています。この体内時計のリズムによって、眠気だけでなく体温や血圧、脈拍、ホルモンの分泌、免疫などがコントロールされています。

 

そういうことなんですね。そして、この体内時計による眠気のピークは、

 

  • 1位:深夜午前2時~4時
  • 2位:午後2時~4時

 

の順番で訪れます。深夜の眠気には劣りますが、その半分くらいの眠気が昼間に襲ってきて、眠くなるのです。それにはこのサーカセメディアンリズムの体内時計が関係していたんですね。ですから本当はこの時間に『20分ほどの仮眠』をことで一日を快活に過ごせます。勘のいい企業はそれに気づいていて、マッサージチェアーでアイマスクをしながら仮眠をする、という行為を推奨したりしています。

 

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