映画を始めて観たときから、およそ30年。そして、毎週映画館へ行く生活を送るようになり、もうすぐ15年の時間が過ぎようとしています。1,300作品以上の映画を観てきた私が、シリーズ以外の『併せて観たい』映画の『歴史』編をご紹介します!また、歴史以外の『併せて観たい』映画は下記の記事にまとめました。

目次
ローマ帝国の歴史
ローマ帝国が作られたのは紀元前27年。カエサルがその礎を築き、アウグストゥスが初代皇帝となった。紀元前509年~紀元前27年までは皇帝のいない国、つまり共和政ローマだった。もし、カルタゴ(北アフリカ)のハンニバルが『人格者』じゃなければローマ帝国は存在しなかったかもしれない。その後、『パクス・ロマーナ』の時代に突入。
しかし、375年にゲルマン人の大移動によってヨーロッパを支配していたローマ帝国は崩れていく。そして、395年にローマ帝国が東西に分裂し、476年にゲルマン人のオドアケルによって西ローマ帝国が滅びる。西洋史では、ここが古代と中世の転換点となる。『グラディエーター』はフィクションだが、『最後の善なる皇帝』マルクス・アウレリウスが登場する。ローマ帝国は、彼の息子コンモドゥスを境に衰退していった。『キング・アーサー』は伝説だが、400年代のローマ帝国の様子を想像することができる。
その後長い時間をかけてローマは単なる『イタリア』としてこの世界の一つの国に落ち着くようになる。オドアケルは、『初代イタリア国王』の異名を持つ人物だ。800年にカール大帝が『カールの戴冠』によって教皇レオ3世から『西ローマ皇帝』として認められ、
- 古典ローマ文化
- キリスト教文化
- ゲルマン文化
の融合に尽力するも、死後、彼が作り上げた大フランク王国は分裂し、
- イタリア
- 西フランク王国(フランス)
- 東フランク王国(神聖ローマ帝国、ドイツ)
となった。962年、オットー1世はヨハネス12世から『神聖ローマ帝国』の帝冠を授かり、古代ローマ帝国を正式に受け継ぐ。その後もローマ帝国の名前は存在し続けるが、1453年5月29日、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)がオスマン帝国によって滅ぼされ、ローマ帝国は1500年の歴史に幕を閉じた。


『ガーディアン ハンニバル戦記』
世界史上最高の名将『ハンニバル』と、それに勝利した『大スキピオ』。紀元前300年頃、アレキサンダー大王が世界を支配した数十年後のヨーロッパ、地中海を仕切っていたのは、北アフリカにあるカルタゴだった。だが、その80年後にはローマ帝国が台頭してくる。カルタゴとローマは、地中海の覇権をかけて戦争をする。『ポエニ戦争』である。ハンニバルについて正確に描かれた最近の映画はほとんどないので、とても貴重な映画だ。半分ドキュメンタリー映画のようにもなっているが、NHKあたりが作る歴史ドラマなどと比べれと、そのクオリティの差は雲泥である。
彼がなぜ世界史上最高の名将と言われたか。それは、この映画を観ただけではわからないだろう。だが、確かにその異名にふさわしい人徳と冷静な頭脳が彼にはあった。あのローマ帝国を滅亡寸前まで追い込んだのは、決定的な事実なのだ。つまり、もし彼が『名将』という純粋な称号が相応しくない『猛将』どまりの人間であれば、ローマ帝国はここで滅亡していたかもしれないのである。

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『スパルタカス』
スタンリー・キューブリックの名作の一つとして数えられるが、監督兼主演のカーク・ダグラスが大物すぎて、実際には思い通りには描けず、自分の作品とは認めていないという。しかし、その意に反して高い評価を受けている映画で、彼の経歴の傷には決してならないということである。確かに、スパルタカスの話は映画化するべきである。彼は、紀元前400年代にあったペルシャとギリシャの戦いで、たった300人で立ち向かったスパルタの戦士たち、そして、世界で三番目の帝国を作り上げたアレクサンドロス、ローマ帝国と激しい戦いをした世界史上最高の名将と言われたハンニバルに続き、この世界の大きな戦いの歴史を作った高名な戦士だからである。
元は奴隷だった彼の兵は、最大で12万人まで達したというのだから尋常ではない。普通、戦で5万人が動けばそれはとてつもなく巨大な規模となる。女、子供、老人もいたかもしれないが、そのエネルギーの集め方、求心力の凄まじさは、極めて異例であり、彼の生き方そのものを忠実に描くだけでそれが映画になるのだからすごい。時代は過ぎた。またいつか最新の映画技術で彼の話は映画化するべきである。

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監督 | スタンリー・キューブリック |
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脚本 | ダルトン・トランボ |
原作 | ハワード・ファスト |
出演者 | カーク・ダグラス ローレンス・オリヴィエ ジーン・シモンズ チャールズ・ロートン ピーター・ユスティノフ ジョン・ギャヴィン トニー・カーティス |
『グレート・ウォリアーズ』
カエサルが行った『ガリア戦争』、その詳細を書いた『ガリア戦記』も有名である。しかし、実はこの戦争で対峙したガリアのウェルキンゲトリクスには、相当てこづったのだ。もし彼が一つ選択肢を変えていれば、この戦争でカエサルは死んでいただろう。色々と映像やキャストに気になる点はあるが、歴史を知っている人からすれば重要なシーンだ。

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『ベン・ハー』
この作品は1959年のもので、それが世界中の様々な人物に影響を与えた。名作中の名作と数えられ、2015年版の映画は『これを出す必要はない(前作が完璧だから)』とまで言われた。だが、私は単純に新しい技術のものを見たいので、古い映画よりは新しい映画が観たい。新しければいいというわけではないが、悪いが1950年~80年代の映画を今観ても、正直無駄が多く、ところどころがチープなクオリティで、幻滅する。
古い=過去の歴史、というイメージを持てて歴史を感じるメリットはあるが、別に『グラディエーター』だとか『トロイ』のように見応えのある新しい映画はあるから、そのような文句を言っているのはおそらく50代以上の人だろう。『スパルタカス』も、題材はいいが別に私は当時の映画のクオリティには満足いってない。しかしとにかく、このような論争を生み出してしまうほど、重要な作品。それが『ベン・ハー』だ。イエス・キリストが生きた時代のローマ帝国を切り取って作られた、見応えのある映画である。
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監督 | ウィリアム・ワイラー |
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脚本 | カール・タンバーグ マクスウェル・アンダーソン クリストファー・フライ ゴア・ヴィダル S・N・バーマン |
原作 | ルー・ウォーレス |
出演者 | チャールトン・ヘストン スティーヴン・ボイド |
『クレオパトラ』
『トロイ』のアキレス、ギリシャのペルシャ戦争とペロポネセス戦争(スパルタ300人の伝説)と、アレキサンダー大王、ハンニバルとスキピオに、スパルタカスの反乱を経て、カエサルとクレオパトラの時代になる。ヨーロッパの歴史というのは数百年に一度は必ず歴史的な人物が出てきて、歴史の記録に大きな痕跡を残す。では、クレオパトラという人物は、どういう人物だったのか。
彼女のこうした名言だけを見れば、彼女がその美貌を利用して野心を燃やした、現代の世ですらもどこにでもいる、単なる美女であり、それがたまたま皇族の地位にあったというだけのことだ。そして、確かに彼女はそのイメージ通り、30歳以上も離れたカエサルの愛人となり、その子供をローマの皇帝にしようと企てる。アレキサンダー大王が支配したエジプトのアレキサンドリアで生きた彼女は、何かと圧倒的な支配者や帝王に憧れがあったのかもしれない。
だが、映画を観ればそうした印象も少し変わるだろう。彼女は単なる野心家というわけでもなかったのである。一人の女性であり、そして高潔な精神を持った、女王だったのだ。

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監督 | ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ |
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脚本 | ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ シドニー・バックマン ラナルド・マクドゥガル |
出演者 | エリザベス・テイラー レックス・ハリソン リチャード・バートン |
『グラディエーター』
監督のリドリー・スコットは、『ベン・ハー』と『スパルタカス』を観て、強い影響を受けた。2000年という人類文明の一つの節目に、人類の歴史に影響を与えた大帝国の分かれ目を描きたいと考えたという。彼の映画には、
- エイリアン Alien (1979)
- ブレードランナー Blade Runner (1982)
- ブラック・レイン Black Rain (1989)
- キングダム・オブ・ヘブン Kingdom of Heaven (2005)
- アメリカン・ギャングスター American Gangster (2007)
- ワールド・オブ・ライズ Body of Lies (2008)
- ロビン・フッド Robin Hood (2010)
- プロメテウス Prometheus (2012)
- 悪の法則 The Counselor (2013)
- エクソダス:神と王 Exodus:Gods and Kings (2014)
- オデッセイ The Martian (2015)
など、錚々たる作品がずらりとあるが、このグラディエーターはその中でトップを誇る彼のヒット作となった。よく、古い伝説映画をリメイクすると『する必要がなかった』という声が上がるが、私は違う意見だ。ぜひ彼に『スパルタカス』をやってほしい。ローマ帝国の最後の『最後の善なる皇帝』マルクス・アウレリウスが死に、ローマ帝国は分裂したり飲み込まれたりして、ここから衰退の一途をたどることになる。この後もローマ帝国の形は残るが、ここが最盛期で、同時に斜陽のターニングポイントだった。

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監督 | リドリー・スコット |
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脚本 | デヴィッド・フランゾーニ ジョン・ローガン ウィリアム・ニコルソン |
原案 | デヴィッド・フランゾーニ |
出演者 | ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス コニー・ニールセン オリヴァー・リード デレク・ジャコビ ジャイモン・フンスー リチャード・ハリス |
『キング・アーサー』
イングランドがまだ『ブリテン』と言われている時代、やはりこのあたりを支配しているのはローマ帝国だった。ローマ帝国の最後の『最後の善なる皇帝』マルクス・アウレリウスが死亡してから100年経ってもローマ帝国は何かと争いを続けていて、ブリテンを侵攻、そしてこのあたりにあった少数民族は、ローマ帝国に組み込まれた。時は452年。そうした事情でローマと組んだ民族出身の騎士アーサーは、名剣エクスカリバーと仲間たちと共に、ローマの支配からついに自由を勝ち取る瞬間を目前としていた。
だが、そこに立ちはだかったのはゲルマン系の民族であるサクソン人。彼らはのちにこのヨーロッパ人のルーツになる民族。『イングランド』の語源となったのはアングロサクソンだ。アングル人、ジュート人、サクソン人のゲルマン系の3つの部族の総称である。この中でアングル人が、イングランド人としてイングランドの基礎を築いた。
このように、様々な民族が勢力を競い合い、ここでその縄張り争いを繰り広げ、定着していった。これは、まだイングランド(イギリス)がこの世に登場する前の、そうした民族同士の競り合いと「アーサー王と円卓の騎士」をモデルにした、『あったかもしれない』歴史の旅である。

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監督 | アントワーン・フークア |
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脚本 | デヴィッド・フランゾーニ |
出演者 | クライヴ・オーウェン キーラ・ナイトレイ ヨアン・グリフィズ |
ギリシャの神々の血筋
例えばユダヤ神話などの神話は『実話だ』と考えている人も多い。モーセが海を割ったり、アダムとイブが存在したり、イエスが復活するわけである。しかしギリシャ神話はそうした様々な神話の中でも『あれは神話だ』と捉えている人が多いのが特徴で、今ではゼウスやポセイドンの存在を信じる者はほとんどいない。
だが、紀元前では違った。アキレスがもし人間だった場合で考えた『トロイ』はどちらかというと『トロイア戦争』に現実味を帯びせるために神話色がほとんどなくリアルに描かれているが、『アレキサンダー』は、実在することがほぼ確定しているのに、『アキレスなどの神々の末裔だ』と考えるアレキサンダーの母親の姿が描写されている。
そして、クレオパトラはそのアレキサンダーが築いたエジプトのアレキサンドリアを拠点とした人物で、ローマ帝国のカエサルらと共に、アレキサンダー大王のような栄光を取り戻そうと画策する。どれもヨーロッパの歴史上における超重要なシーンばかりなので、見応えは十分である。
『トロイ』
紀元前1200年代。世界で最初の公式な戦争は、紀元前1285年頃にあったカデシュの戦い (古代エジプトとヒッタイト)である。実際にはもっと以前から存在したが、史上初の公式な軍事記録に残された戦争であり、成文化された平和条約が取り交わされた史上初となる戦いであるともいわれている。これは、ラムセス2世というファラオが参加した戦争だが、おそらく、モーセが存在していたなら、このラムセス2世と同時代だったと考えられている。よって、『エクソダス神と王』では、モーセとラムセス2世は兄弟のような友情で結ばれた友人として演出されている。
しかし、エジプトであったその戦争と同時代のギリシャで、『トロイア戦争』という戦争があった可能性があると言われている。これは、カデシュの戦いに比べて明確ではなく、あくまでもギリシャ神話の域を出ないものである。だから、この戦いに登場するアキレスも、本来ならギリシャの人格神として語り継がれるものである。これは、そのアキレスをあくまでも一人の人間と捉えた、壮大なスペクタクル歴史映画である。同じ時代にあった『アレキサンダー』は、実在したアレクサンドロスを描いた映画だが、その5倍も売り上げた、ヒット作だ。私は両方とも見応えがあり、歴史を学べて良かったととらえている。
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監督 | ウォルフガング・ペーターゼン |
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脚本 | デヴィッド・ベニオフ |
出演者 | ブラッド・ピット エリック・バナ オーランド・ブルーム ダイアン・クルーガー ブライアン・コックス ショーン・ビーン ブレンダン・グリーソン ピーター・オトゥール |
『300 〈スリーハンドレッド〉』
実際にあったと言い伝えられている、古代最高の戦い。『ペルシャ戦争』と『ペロポネセス戦争』で、アテネとスパルタは手を組み、ギリシャVSペルシャの戦いが行われた。この世界で二番目に帝国の覇者となったペルシャ帝国の数と勢いは圧倒的で、それに対抗するためには自らの命を武器にする以外には選択肢はない。実に100万人以上のペルシャ軍に対し、男の中の男たち、スパルタ軍はたったの300人で彼らに突っ込んだ。

主人公のレオニダスの先祖を辿っていくと、ギリシャ神話の神、ヘラクレスにたどり着くことになる。
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監督 | ザック・スナイダー |
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脚本 | ザック・スナイダー マイケル・E・ゴードン カート・ジョンスタッド |
原作 | フランク・ミラー |
出演者 | ジェラルド・バト |
『アレキサンダー』
世界で三番目の世界帝国は、マケドニアのアレクサンドロス三世の時代に存在した。アッシリア、ペルシャの次がそうだ。そしてその後、ローマ帝国の時代が到来することになる。しかし、若くして世界を獲ったと言われたアレキサンダー大王はヨーロッパの人々にとっては伝説的存在で、母親がアキレスの末裔、父親がタイタン、ヘラクレスの末裔だと言われるほどである。
映画ではアリストテレスが彼の知性の軸となる教師として登場するが、ある文献によると、アリストテレスは大した影響を与えなかったともある。だが、よく考えればアリストテレスが家庭教師をしたという事実は確かなのだから、あれほどの人物が教えた者に対した影響を与えなかったというのも妙である。
彼が支配した都市、アレキサンドリアは、エジプトにある。そして、その300年後にそこに存在したのが、かのクレオパトラである。彼女はそこでローマのカエサルと出会うのだ。『トロイ』のアキレス、ギリシャのペルシャ戦争とペロポネセス戦争(スパルタ300人の伝説)と、アレキサンダー大王、ハンニバルとスキピオに、カエサルとクレオパトラ。このどれもが見逃すことができない圧倒的なヨーロッパの伝説的な人物と戦いの歴史である。

監督 | オリヴァー・ストーン |
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脚本 | オリヴァー・ストーン クリストファー・カイル レータ・カログリディス |
出演者 | コリン・ファレル アンジェリーナ・ジョリー アンソニー・ホプキンス |
『クレオパトラ』
上記『ローマ帝国の歴史』に記載した。彼女の先祖は、エジプトのヘレニズム国家プトレマイオス朝の初代ファラオ、プトレマイオス1世である。アレクサンドロス3世(アレキサンダー)に仕えた人間だから、彼女自身が神の血筋を受け継いでいるわけではないが、アレキサンダーを敬い、その考え方を受け継いでいる。