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『パピヨン』 レビュー(感想)と考察

『パピヨン』

ポスター画像出典:『Amazon

 

 

 

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年間735本の映画鑑賞の経験があり、コロナ前には13年間連続で毎週映画館で映画を鑑賞!3000本以上の映画を観た映画好きが、映画の紹介をさせていただきます!

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※検索したら『年間700本』という人が一番っぽかったから、皆様に映画への熱意をお伝えするためにとりあえずその人以上の数字を出しただけです・・

 

『レビュー(感想)と考察』

胸に蝶の刺青をしていることで「パピヨン(フランス語で蝶)」と呼ばれたアンリ・シャリエールという男が、1931年に無実を叫びながら終身刑となる。

 

フランス語というくらいだからフランス人なのだが、この映画はスティーブマックイーンとダスティンホフマンが演じる英語映画である。この時代、終身刑を課せられた者は祖国フランスを追放される上に南米ギアナのギアナ流刑地、そして1852年の設置以来収容された囚人はたった数十人というデビルズ島で過酷な強制労働が科せられた。

 

Île du Diable depuis l'île Royale.jpg

[出典:ディアブル島]

 

このデビルズ島、日本名は悪魔島(あくまとう)または鬼ヶ島というのだからすごい。これは今まで生きてきて得た知識で話す大体の話だが、かつて『島流し』という刑があり、現在はその言葉は死語に近いものになっていることを考えても、

 

『島に閉じ込めればそこが刑務所だろ』

 

という発想があったのだろう。例えば今から3000年後の未来には、もしかしたらバンドエイドサイズの折り畳みボートなどが、『ドラゴンボール』のホイポイカプセルのイメージで発明されていて、もちろんそれだけじゃなくそれくらいの技術があるくらいだからそれと並行してあらゆる技術の進化で、島に流されても脱走は容易である、という時代なら、こういう発想にはならなかった。

 

また、刑務所施設の技術発展も関係しているだろう。本島に刑務所を作った方がむしろ管理・監視が容易であるというくらい技術が発展した場合、わざわざ島には流さない。

 

もちろんそれ以外にもいくつもの要素があるだろう。昔、日本では『仇討ち』は法律で認められていた。『敵討ちでないなら殺人とみなす』とされていたくらいだ。wikipediaにはこうある。

通常の仇討ちが元禄年間(1688 – 1703年)を過ぎると減少するのに対して、女敵討は宝永年間(1704 – 1710年)以降に増加している。とくに、享保年間(1716 – 1735年)では届け出のあった仇討ちの半数は女仇討である。なお、庶民の場合でも、このようなケースでは殺人罪にはならない。

 

だが今ではどんな殺人でも許されない。よほど情状酌量の余地がある場合のみ特例があるくらいで、暴力に関する考え方も変わった。少し暴力的な発言をしたくらいでも、『時代錯誤』と叩く人間がいるくらいだ。色々な事情が加わり、時代が変化して、1953年にはこの流刑地は完全に閉鎖された。1852年から数えて約100年の間存在していた、ある種『幻の地獄』と言える場所だろう。

 

  1. マラリア
  2. ワニ
  3. 熱帯雨林
  4. それらに付随する危険な昆虫の数々
  5. 足枷
  6. 水死体
  7. ギロチン

 

これらのキーワードを聞いただけでそこにあるのが地獄に近い場所だということは想像にたやすい。事実このギアナ流刑地はフランス史上最も悪名高い流刑地であり、8万人以上の政治犯や重罪人がこの地に送られたが多くは疫病の蔓延する環境に耐えられず死んでいった。

 

Fraser island rainforest

 

私はこの映画を観るまで『孤高編』の映画ジャンル別ランキングにおける1位に『ダークナイト』を該当させていたが、この映画を観たら1位を交代せざるを得ないと悟った。私の中でダークナイトはかなりクールで格好いい映画で、ポスターを部屋に貼っても構わないと考えるくらいなのだ。その私から、ダークナイトを1位の座から引きずり落とす、それだけの爆発的な実力を持つ、それがこの『パピヨン』という実話映画である。

 

私はいつも、壮絶なシーンが描かれる時(自分なら耐えられるか、どう対処するか、すぐに動けるか)などと自問するのだが、今回ばかりは心で即答できなかった。それだけ劣悪な環境を強いられるパピヨンの壮絶な数年間を、我々はこの目で目撃する。

 

また、2017年にリメイクされるのだが、やはり、スティーブマックイーンとダスティンホフマンの黄金コンビのそれを超える作品とはなっていない。だが、これはこれでマックイーン作品で見えなかった新たな事実が見えたりして、そっちの奥行きを広げる作品という意味で、存在価値がある。

 

 

『この映画のジャンル』

実話、絆、孤高、孤独、精神

 

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