『乱』
ポスター画像出典:『ヤフー映画』
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乱』(らん)は、1985年に公開された日仏合作の歴史映画である。監督は黒澤明、主演は仲代達矢。カラー、ビスタ、162分。物語はシェイクスピアの悲劇『リア王』と毛利元就の「三子教訓状」を元にしており、架空の戦国武将・一文字秀虎の家督譲渡に端を発する3人の息子との確執、兄弟同士の骨肉の争いと破滅を描く。当時の日本映画で最大規模となる26億円の製作費を投じた大作で、構想から9年もかけて完成した。
監督 | 黒澤明 |
---|---|
脚本 | 黒澤明 小國英雄 井手雅人 |
製作 | セルジュ・シルベルマン 原正人 |
製作総指揮 | 古川勝巳 |
出演者 | 仲代達矢 寺尾聰 根津甚八 隆大介 原田美枝子 井川比佐志 ピーター 植木等 |
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『どんな人におすすめ?』
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『レビュー(感想)と考察』
シェイクスピアの悲劇『リア王』と毛利元就の「三子教訓状」を元にしており、主軸となる人物は架空である。シェイクスピア三大悲劇のもう一つ『マクベス』は『蜘蛛巣城』で描かれている。黒澤の最高傑作の一つとして国内外で高く評価されていて、実に多くの名誉ある賞を受賞している。それだけ見応えのある映画だ。玄人たちや製作者側の意見だけじゃなく、視聴者側の私が観ても、素直にそう感じることができる映画だった。
まずはこういう裏話を見てみよう。
主演の仲代達矢は「60年以上俳優をやってきて、一番多く出演料をいただいた作品」と語っている。高倉健はこの作品の出演を断り、黒澤に「あなたは難しい人」だと言われたが、その後偶然『乱』のロケ地を通ったことがあって、出演すれば良かったと後悔したという。それだけ迫力のある映画を作っているのが遠目からでも分かったということだ。
アメリカからクォーターホースを50頭輸入して調教しているが、それは『影武者』を観た調教師から「戦国時代にあのような格好のいい馬(サラブレッド)はいない」と指摘されたためであったという。劇中で読まれない手紙の中身まで書く黒澤明の細部へのこだわりが、こんなところにも出ているのがわかる。
落城シーンは、富士山麓の御殿場に4億円をかけて巨大な三の城のオープンセットを作り、実際に火を放ち炎上させた。この撮影地は奇しくも『蜘蛛巣城』と同じ場所だったという。そしてその落城シーンはワンカット一発撮りで撮り直しは不可能なため、リハーサルに1週間をかけ、撮影本番では城内に仲代ひとりを残してスタッフが撤収してから火を放ち、8台のカメラで撮影した。
死んでしまう可能性だってある。『蜘蛛巣城』では三船敏郎に本当に矢を射て撮影したが、今回は仲代達矢が体を張ったのだ。彼が一発で演技を決めなければ大損害が出たという。だがそれを一度で見事に成功させ、仲代は顔半分に火傷を負い1週間休んだ。そして、「役者って、画(え)になりさえすれば、何だってやってしまうんですよ」と語っていたという。
これを見るだけで、もうこの映画が半端ではないことが何となく伝わってきたはずだ。命がけで撮影されている。それは絵から十分伝わってくるのである。表層より実際を好む高倉健が嫉妬したのが一つの証拠でもある。
私は映画を『ながら観』することがあるが、それは映画の展開がわかってしまうからである。だが、これは私にそうはさせない。テレビの真正面に来て、真正面から見て、その目で焼き付けろと言わんばかりに、テレビの方向からただならぬ気配が漂ってくる。白黒映画もそうだが、彼が色を操るとここまでを描くか。
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