クリティカル・パス
■著者:バックミンスター・フラー
我が家の本棚で最も高価な本だったことや、この本のレビューである『読書の節約になった』という高い評価によって、期待値が上がっていた。しかし、(もっとわかりやすく説明できるなあ)とか、(体に衝撃が走るほどではないなあ)というのが素直な感想だ。
ただし、私にこの本を勧めてくれた人の見識がすごい。これらの他にもその人の勧めで数冊買ったが、どれもこれも私の性格を理解していなければ勧められない本だった。それに、間違いなくこの著者は賢く、私がざっと頭に浮かべていただけの『環境革命』的な発想を、具体的に持っていたことは楽しかった。私も常々、『エコハウスが将来の人間の住居のオーソドックスな形になる』と考えていて、東大総長などもちょうどその時期自らエコハウスに住み始めていたが、それらと同じような発想、つまり、
『エコロジーとエコノミーの両面が最適化された家』と、『そうではない家』とで選択できるようになった場合、まず間違いなく全てに等しい人間は、前者の家に住むという事実があるわけだ。それを数十年前からとっくに着想し、現実に、デザインによってエコに優しい人工物を作る動きに着手するあたり、さすが、『エジソンとフランクリトンと同等の扱いを受ける人間』、あるいは『現代のレオナルド・ダヴィンチ』と称されるだけのことはある。
私もそういうことがしてみたいという願望が強くあることが紛れもない事実だ。