薄毛を改善する薬として認められた唯一の薬
(製品名プロペシア)は、2005年に承認された、医師が処方される服用タイプの男性型脱毛症薬です。プロペシアは、フィナステリドという成分が1錠中に1㎎含まれています。
効果がある場合は服用して4か月目くらいから症状が改善しはじめ、6~12か月後に明らかになる。日本で承認される以前に欧米では1998年から発売されていました。日本でもフィナステリドに発毛作用があることを製薬会社が証明し、それが正式に国に認められたのです。フィナステリドは現在、世界の60か国以上で承認されており、日本では『萬有製薬』が作っています。
米国皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドラインや国際毛髪外科学会の指針では『ミノキシジル』と共に強く推奨されており、アメリカ食品医薬品局(FDA)も内服して薄毛を改善する薬として
先生
ハニワくん
脱毛の原因となる酵素の働きを阻害
脱毛の原因としては、毛根の毛乳頭細胞に、男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)という物質が作用することが挙げられます。人間の毛髪は約10万本あり、健康な人でもそのうち約50~100本が毎日自然に抜け落ちるといわれていますが、AGA(男性型脱毛症)になると、DHTのはたらきにより脱毛シグナルが出され、毛髪が成長する前に次々と抜けてしまいます。
DHTは精巣から分泌されるテストステロンが、5α-リダクターゼという酵素によって変化した化学物質ですが、男性型脱毛症の治療薬であるフィナステリド(商品名プロペシア)は、
。
ミノキシジルが血管拡張剤として開発されていた中で、『体毛が濃くなるという副作用』が現われて、それで方向転換をしたわけですが、このフィナステリドも、元々は前立腺肥大症の治療薬でした。しかし、ミノキシジルと同じように『
』が現われて、それで方向転換をしたわけですね。
先生
ハニワくん
生活習慣病の改善にも役立つ
男性型脱毛症が、生活習慣病や前立腺の病気の発症のリスクファクターでもあるので、プロペシアの投与は、薄毛の改善のみならず、
もあります。実際に、30歳以前に発症した男性型脱毛症の患者にプロペシアを1年間投与すると、これらの患者の糖代謝やインスリン抵抗性が改善したと報告されています。
35歳未満の早期に起こってくる男性型脱毛症は、インスリンの働きが低下するインスリン抵抗性の発症の指標になることも報告されていて、インスリン抵抗性を持つ人は、時間の経過とともに、
- 肥満
- 高脂血症
- 高血圧
などの生活習慣病を合併してくるわけで、インスリン抵抗性が改善されるということは、男性型脱毛症の治療は健康維持にとって大きなポイントとなるのです。
先生
ハニワくん
IGF-1の減少を抑制する
プロペシアは、5α-リダクターゼの働きを阻害するので、
の減少を抑制して、IGF-Ⅰが正常に作られるようにします。1年間のプロペシアの投与で、AGAの58%に薄毛の進行を抑制して髪を増やす効果が認められているというデータもあります。(しかし、下部に記載する内容と比較すると矛盾するデータです。)
- 日本酒(熱燗)
- ビール
- 赤ワイン
このデータでは、139人の人にAGA患者にプロペシアを1年間服用してもらい、そのうち58%に育毛効果があった、というもの。また、22人のAGAの人たちにプロペシアを、
- カプサイシン
- イソフラボン
と共に6カ月間服用してもらうと、その90.0%に育毛効果が認められ、そのうちの54.5%には一見してわかるぐらいの育毛効果が認められたということです。カプサイシンとイソフラボンだけでも効果があるらしいのですが、その効果が5カ月で得られるのに対し、そこにプロペシアを併用することで、2ヵ月で同じ効果が得られたということですね。
※参考『薄毛の食卓』(マガジンハウス)
先生
ハニワくん
- フィナステリド(製品名プロペシア)は、2005年に承認された、医師が処方される服用タイプの男性型脱毛症薬。
- アメリカ食品医薬品局(FDA)も内服して薄毛を改善する薬として唯一有効性を認めている。
- 脱毛の原因となる酵素の働きを阻害してDHTを減らし、男性型脱毛症の進行を抑制する。
- 元々違う効果を狙った薬で、『体毛が濃くなるという副作用』が現われて、それで方向転換をした。
- プロペシアの投与は、薄毛の改善のみならず、生活習慣病の改善につながる可能性もある。
- プロペシアは、5α-リダクターゼの働きを阻害するので、IGF-Ⅰの減少を抑制して、IGF-Ⅰが正常に作られるようにする。