名言を自分のものにする

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ちゅっちゅが教えてくれたこと



 少年、フウのところにある日突然やってきた子悪魔のチュッチュ。
二人は仲良しになり、いつも仲良く遊んでいた。 
チュッチュは、はじめてできた友達に、心が満たされる思いだった。 
ある日、フウの家に行くと、病気のおばあちゃんが寝たきりになっていた。
おばあちゃんは優しくて、友達のいなかったフウのことを思い、
「いつまでも仲良くしてあげてね。」とチュッチュにいった。
フウがこっそりとおばあちゃんの病気が治るように祈っているのを見てチュッチュは、
 本当におばあちゃんが大好きなんだな。と思った。 
それから数日たった日のことだった。苦しそうなおばあちゃん。
フウがお医者さんを呼びに行っている間にチュッチュに言った。
「そうかい、もうお迎えが来たんだねえ・・
チュッチュ。
ありがとうねぇ、これからもフウのお友達でいてねぇ・・
お願いねぇ。」 
お医者さんを呼びに言ったフウは、
町の人達から
『悪魔と仲良くしてるやつは町から出て行け!!』
と罵声を浴びせられる。
やっとの事で家に辿り着いたフウは、
チュッチュがおばあちゃんに何かしてるのを見てビックリした。 
「何してるの!?」
その直後、チュッチュは怪物のような悪魔に変身して暴れだした。
「わっはっは!お前のばあさんの命は美味かったよ」 
裏切られた思いで、泣きながらチュッチュに棒切れで向かっていくフウ。
「ぎゃああああ!」
空にふらふらと飛んでいくチュッチュ。
悪魔をやっつけたということで町の人達は口々に少年を誉めてくれた。 
チュッチュは町中の信頼を取り戻した。
その頃チュッチュは、元の姿で木の下に座り込んでいた。
「苦しいんじゃろう?お前はおばあちゃんの病気を食べたんじゃな・・」 
と樹のおじいさん。
大きな樹は泣き続けた。
それはまるで山全体が泣いているようだった。 
その涙がこぼれた後から小さな花が咲き始め大きなお花畑になった。
家に戻ったフウは、おばあちゃんが元気になっているのを見て、
本当の事が判り慌ててチュッチュを追いかけた。 

チュッチュー!チュッチュー! ごめんよー!君を信じてあげられなくて。
でも本当の事が判ったんだ。いつまでも友達だろう?
ねェ、チュッチュー!
もう一度遊ぼうよ・・・

そしてフウは二人が出会った大きな木の下にやって来た。
そこは少年が見たことも無い大きなお花畑になっていた。

「ずっと二人は友達って彫ってある!チュッチュはここに来たんだ!」 
フウは涙が止まらなかった。
そこにはただ、チュッチュと同じ色をした赤い花が、
柔らかい風に包まれて気持ち良さそうにしていた。 

この絵本の意味するところは深かった。 
この絵本は、私に足りないところを的確に表現していた。 
私は恩師ともいえる先生たちにそっと後押しされながら、

自分が本当に立ち向かうべき存在と立ち向かおうと思った。 
それは、自分と向き合う、ということだった。
この「勇気」は、これからの自分の新しい人生に強い影響を与えるだろうと思った。
「更生」。 
更生なんかするか!俺はどんなことがあっても不良をやめるつもりはない。
やめるやめないの話じゃない。自分の人生だと思って貫いたことが不良になるなら、
俺はそれを悪いとは思わない。 
自分の人生だから。操り人形じゃないから。 
しかし。 「更生」。 
それは、なにもメガネをかけ、ガリ勉になるという意味ではない。
真面目くんになって、今までつるんできた友達を「不良交友」だと切り捨てて、
当たり障りなく生きていくということではない。
私は、そう考えるようになった。 
なぜなら、「更生」とは、「更に生きる」と書くということを、恩師に教わったからだ。
非行を繰り返した。父親が死んだ。
しかしなおも続く自分の人生。
嫌だといってもいずれは必ず時間は前に流れる。
そしてこれからどんなことがあっても生きていかなければいけない。
人を殺してしまった人は、そこからまた罪の意識を背負いながら、
生きていかなければならない。
それであれば、これからの人生、どう生きて、どう死ぬか。
何があっても、ここから更に、生きていかなければならないんだ。
ちゅっちゅから学んだことは、私の人生にとって衝撃的だった。
それを見た17歳の当時では、『俺はちゅっちゅのようなことはできない。』と
思った。
あれから10年。
ちゅっちゅ、恩師の下で学んだことを、私なりに試行錯誤してきた。
だが、現実は物語のように、スムーズでもなければ綺麗でもなかった。
だけど、私は今、人生の一つの転機にいると思っている。
私はここへきて、もう一度、ちゅっちゅが伝えていることを、考え直していこうと思うのだ。
自分のために生きて、人を悲しませた。
人のために生きて、馬鹿を見た。
一体、どうすればいいのだろうか。
でも、本当はどこかでわかっている。
残りの人生で、自分のことを最後に考えられるような、大きい人間になりたい。

 

 


by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。


ちゅっちゅが教えてくれたこと

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