カジノ資本主義
■著者:スーザン・ストレンジ
世界経済はまるで、大銀行、大ブローカーが元締めを務める、『カジノ』のようであるという。世界の経済的混乱は貨幣、金融的なものであること、この混乱は偶然によって生じたものでなく、実際に政府の一連の決定によって育成され、促進されてきたと著者は指摘する。
個人的に気になる記述でには、『確証バイアス』、つまり、自分の職業や関心領域や自己の政治的信条に適う文献だけを読む傾向にある、人間の心理が、見識が正確であることを妨げるという部分。
人間の『格差』とは、どういうことなのだろうか。考えさせられる。
今も資本主義世界の都市中心にそびえたつ巨大なオフィスビル街では、生き残った金融ギャンブラーだけが祝杯を上げていると著書は言うが、確かに、天災が起きたとき、人命よりも先に株価を気にする人間は存在して、そういう人間とそうじゃない人間には、確かに『格差』があるのである。