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孔子『リーダーの9つの心得とは』(超訳)

儒教の始祖 孔子画像

内省

  1. 的確に見る
  2. 誤りなく聞く
  3. 表情を穏やかに保つ
  4. 立居振舞に品を保つ
  5. 言葉をたがえない
  6. 仕事に敬意を払う
  7. 疑問があったらきちんと訊く
  8. 見境なく怒らない
  9. 社会道義に反した利益を追わない

 

一つ一つ見ていこう。

 

1 的確に見る

これについて求められているのは『見識』である。その物事の是非や善悪を見極める。 そのためには、崇高な『規範意識』が必要である。精神の修養によって研ぎ澄まされた、『徳』がなければ、まずこの判断ができない。

 

わかりやすく言えば、赤ちゃん。赤ちゃんは当然、未熟である。よって、『食べてはいけないもの』も、口にしてしまう。まだ『見識』などないからだ。その後の人生で、身につけていくからだ。歳だけとり、表面だけ大人になる人間は山のようにいるが、この『見識』を研ぎ澄ませながら生きる人は、そう多くはないのではないだろうか。

 

2 誤りなく聞く

これについても、まずは『見識』が重要である。情報など、歪曲するものだ。発信者の都合のいいように、あるいは伝言ゲームのように、悪意の有無に関係なく、歪曲する。その中で、その情報の是非や善悪を見極めるのには、やはり『見識』がいる。そのための精神の修養を怠る人間は、リーダーには相応しくない塔いことだ。

 

3 表情を穏やかに保つ

これに関しては、『見識』を得る過程のその『精神の修養』さえきちんとやっていれば、身につくスキルのはずである。克己心。平常心。自分の心を自律する強い意志がなければ、部下たちの心も脆くなり、組織は破たんするだろう。

 

4 立居振舞に品を保つ

これについても、『見識』を養う過程の『精神の修養』で身につくはずのスキルだ。『上品』とは、『洗練されたもの』、『下品』とは、『品質の劣ったもの』。つまり、刀で言えば、丹精込めて刃を研ぎ、研ぎ澄まされた魂のこもった刀と、何年も手入れをしないで、雨ざらしにしておいたなまくら刀とでは、まるで刀としての切れ味が違うのと同じだ。品が出せないのは、己を磨いていない証拠である。

 

5 言葉をたがえない

これについても、やはり『見識』が必須スキルとなる。間違った言葉を選択してしまう、言葉を選べない、そういう人には、まず『知識』がなく、そして『見識』がない。リーダーの言葉とは、例えるなら『線路の方向転換』である。部下たちを乗せた列車を、どこに方向転換させるか、人の命を、命運を背負ったその方向転換に、責任を持たなければならない。

 

6 仕事に敬意を払う

これが出来ていない人間は、たとえ金を腐るほど持っていても、人としてどこか欠落している印象を持つ。それはつまり、真理に逆らっていることに他ならないのだ。仕事とは、金儲けだけの手段ではない。人間が最善の形で生きていくために与えられた、条件である。それを無下にし、見下すような人間は、『金は天国に持っていけない』というあまりにもわかりきった事実を、受け入れられなかった人間である。

 

7 疑問があったらきちんと訊く

これについては、やはり自分の『見識』を育てる為でもある。それから、謙虚さを忘れないためでもある。『実るほど頭が下がる稲穂かな』という言葉の通り、『無知の知』をわきまえ、生きている間は生涯勉強人ということを忘れない姿勢こそが、真のリーダーの姿である。思い上がったらそこで、その人間の可能性はストップする。

 

8 見境なく怒らない

『自主、自律、責任』。これこそが、大人に求められる最大のキーワードである。自分の感情の勝手気ままに人に罵詈雑言を浴びせることなど、言語道断。自主的に動き、自分の心を律し、責任の取れない言動は慎む。これは、求められる絶対条件だと思うべし。

 

9 社会道義に反した利益を追わない

ここを隠蔽する拝金者は、実に大勢いるだろう。CSR(企業の社会的責任)をしっかりと認識し、崇高な理念に基づいて事業を全うする尊い人間が求められるのだ。金儲けにだけ徹すれば、誰だってやろうと思えば何とかその目的は達成できるだろう。

 

人を殺し、子供を売り、武器・麻薬を売り、株を操作し、拝金的な生き方をすれば確かに、一時的には膨張することは出来るかもしれない。だが、それでは『刹那的』だ。『膨張』と『成長』は違う。膨張も拝金も、刹那的で、虚しい。自分の子孫に正々堂々と繋ぐことのできる、本当の資産を作ることだけを、考えて生きなければならない。

 

 

注意

※これらの言葉は参考文献や史実に基づき、運営者が独自の見解で超訳し、自らの生きる糧、自らを戒めるため、内省の為に日々書き留めたものです。史実を正確に把握したい方は正当な書物をご覧ください。

参照文献

季子第十六-十

子曰く、君子に九思あり。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色には温を思い、貌には恭を思い、言には忠を思い、事には恵を思い、疑わしきには問いを思い、忿には難を思い、得るを見ては義を思う。

関連する『黄金律

『人間が戦うべき相手は外にはいない。「内」にいるのだ。』

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